第108話

黒龍に手を出しては行けない理由
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2024/08/05 11:20

これは一体、どういう状況なのだろうか。

あなた
若さん!?!?
若狭
危ないから勝手に動いちゃダメ
若狭
後そこのお前ら、あなたの下の名前との時間潰すんだ…覚悟できてんだろうな

何故私は今、喧嘩をしようとしている場で


若くんに抱きしめられているのだろうか。

ー数分前
あなた
…うーん、ここどこだろ

あなたの名字あなたの下の名前。現在絶賛迷子継続中である。
あなた
スマホがあればなぁ…G○○glemapが恋しいよぉ……

夏休みに入った私は空いている時間で住んでいる街の散策を行っていた。


私のいた時代と現在じゃ地形が若干違うんだよねぇ…
あなた
さすがに暑いし、疲れたし…助け呼んだ方がいいよね

助けを求めるならドラケンくんとか三ツ谷くんあたりかな…

でもこの頃三ツ谷くん、距離が近くて心臓がもたないんだよねぇ
あなた
ドラケンくんもマイキーくんと一緒に居たりしたらあれだし……鶴蝶とか?
あなた
うぅーん、イザナくんがなぁ…

悶々としながらガラケーをカチカチといじる。


こちらに来てから初めて触ったガラケーも今じゃ手馴れたものだ。

…あ、


カチカチしていた手を止め、青く光る名前に決定ボタンをタップする。
若狭
何してんの?
あなた
んひゃ!?

耳元で聞こえたイケボに思わずガラケーを落としてしまう。

若狭
あーあ、大丈夫?
怪我してない?
あなた
わ、若くん!!急に話しかけないでよ!

驚いたでしょ!と言いながら落ちたガラケーを拾い上げる。


その瞬間だった。



ビュッと何かが私の頬をかすめる。
あなた
……へ、

見なくてもわかる、肌が切れた。

そして私の手元にはナイフが落ちている。
さっきまではなかったはずのナイフが。



あと1センチでも動いてたら…手に、刺さってた……

若狭
あなたの下の名前
ちょっとこっちおいで

若くんはナイフの飛んできた方向を威嚇しながら私を引き寄せる。
若狭
…で、お前らなんの用?

ギロリと睨む若くんはいつも話している若くんとは違って不良を彷彿とさせている。


……って、嘘でしょ!?喧嘩するの!?!?
モブ1
へー、やっぱあの噂はマジだったんだな
若狭
…あ?
モブ1
元黒龍総長、佐野真一郎には恋人がいてその恋人を守るために生ける伝説が護衛してるって噂だよ


…は?え、ん???
あなた
真一郎くんと、誰が???
モブ1
今更シラ切るつもりかよw
お前だよお、ま、え

私と、真一郎くんが…こいび、え?
あなた
あ、あの…違うんですけど……
モブ1
は?生ける伝説が実際今お前のこと守ってんだろうがよ
モブ1
何が違うのか言ってみろや!!
あなた
いや、だから!!!私は真一郎くんとお付き合いしてませんし、するつもりも一切ありませんって!!!!
モブ2
あ!?んだてめぇ!!!
口答えすんのか!?!?
あなた
はぁ!?

何!?馬鹿なの!?!?


話が通じなさそうな人たちに思わずため息が漏れる。
あなた
話が通じないのでいいです
若くん、私実は迷子になってて…家まで送ってくれない?
若狭
……

…ん?
あなた
わ、若くん?
若狭
お前らさ、さっきから言わせておけば…何、その噂
あなた
わ、若さん?
若狭
真より俺の方があなたの下の名前を想ってる
あなた
若さん!?!?

ギュッと抱きしめられ、体温が上昇していく。
若狭
危ないから勝手に動いちゃダメ
若狭
後そこのお前ら、あなたの下の名前との時間潰すんだ…覚悟できてんだろうな

へ、へ!?


なぜ若くんは怒っているのだろうか。
というよりなんで喧嘩をする雰囲気なのだろうか。
あなた
ちょ、ちょっと待っ、ひっ
モブ1
あ?何青ざめてんだよ
モブ2
俺らにビビってんじゃね?
若狭
……やっと来たか
あなた
だ、だめだよ!!塀が潰れちゃう!!!
あなた
真一郎くん!!!!!

その言葉に相手の顔色が段々青くなっていく。


当たり前だ、この地域の伝説。
最強の元総長がお怒りなのだから。
真一郎
とりあえずあなたの下の名前、
あなた
……へ、
真一郎
お兄ちゃんと結婚するって言ったよな!?!?お兄ちゃんが1番じゃないのか!?!?
真一郎
なんだあの電話越しに聞こえた「お付き合いしてませんし、するつもりも一切ありません!」は!!!!
真一郎
お兄ちゃん泣くぞ!?泣いちゃうぞ!?
真一郎
んでもってそこのクソども…
お前が投げたナイフもってこい!!!
真一郎
そのナイフでお前らグッチャグチャのメッチャメチャにしてやんよ!!!!
真一郎
誰の妹に手ぇ出してんだ、あ!?
若狭
……あなたの下の名前、家まで送ってく
ここは真が何とかしてくれるから
あなた
いや、人殺しちゃいますよ!?

今日も今日とて、この世界は平和です。
知らんけど。

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