1ヶ月、2ヶ月...3ヶ月経っても、
高槻先生は起きなかった。
人形のような表情をしてたのに、ここ最近は嬉しそうな顔をして眠っている。
毎日、病院に通ってる佐々倉さんと俺はそんな話ばかりしていた。
早く目が覚めてほしい。
こんな嬉しそうな顔をしているにも関わらず、俺は心配で仕方なかった。
毎日毎日行っても、一緒。先生は、目覚めない。
先生、高槻先生。早くあなたに会いたい。
『その願い叶えてあげれるよ』
高槻先生が眠るベッドの隣で、寝そうになっていると、ふと少女の声が聞こえた。
『誰、か。ごめんね、今は言えそうにない』
俺の問いに反応し、申し訳なさそうに声を出した。
『ところで、君はその先生に会いたいんだろう?』
その先生、高槻先生のことか。
『私なら会わせることができるよ』
本当なのか...!?と、椅子から立ち上がり、窓から聞こえる少女に訴える。
『勿論、でも条件を満たさないといけないけど』
条件、もう何だっていい。
先生を、この世界に戻す方法を教えてほしい。
そう言うと、少女は窓から姿を表した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。