第2話

#01 死神は月夜に
131
2022/01/14 13:17
窓から輝く月が綺麗に見えていたその時。
不思議な風が吹いて、体を起こしてみる。
目の前に、深くフードを被った男の子が立っていた。
結月
結月
え......?
だ、誰?
こんなこと普通ならあり得ないし、夢を見てるんだろうと思った。
死神君
死神君
夢ではないよ、結月さん。
突然男の子が口を開いた。
え、心読んだの??
てかなんで名前を......?
結月
結月
夢では、ない......?
死神君
死神君
うん。
僕は、君の魂を貰いに来た、死神です。
結月
結月
し、死神......?
思考が停止した。
確かに、この黒い服装は、「死神」というイメージと一致しないでもないのだが......。
もう、迎えに来たの!?早すぎない!?
さすがに、そこまで心の準備はできてない。
死神君
死神君
君の命は長くないことを知ったはず。
結月
結月
でででも、さすがに今日じゃないよね?
一番気になって、ダメ元で聞いてみた。
死神君
死神君
聞いたんでしょ、4ヶ月後、来年の春だよ。
結月
結月
やっぱり、春か......。
春には、思い残しがあるとさっき発覚したばっかりなのに......。
結月
結月
じゃあさ、今何でいるの?
これは気になった。
すると、相手は、フードの奥で、読みにくい表情をして言った。
死神君
死神君
......君の魂を、綺麗なまま貰いたいからね。
死神は、左手を頭の後ろにやった。
その仕草は、どこかでみたことがあった。
結月
結月
......?
えっと、......どういう意味?
死神君
死神君
......最期まで、幸せに過ごすと、魂は、綺麗なんだと信じてる。
死神君
死神君
だから、幸せに過ごしてほしいんだ。
結月
結月
......いってる意味が、あんま分かんないけど、ここ、病院だよ?
幸せも何も、関係ないと思うんだけど。
死神君
死神君
......恐怖に打ちのめされるより、ちょっとでも、安らぎがあった方が。
結月
結月
......死ぬのは怖いとは思ってないよ。
少し、相手は戸惑った顔をした。
死神君
死神君
......本当に......?
結月
結月
うん。
......生きてても迷惑かけるし、生き甲斐はもう残ってないし。
この年ってのは惜しいけど、仕方ないって諦めたとこ。
これまでだれにも言えなかったことが言えた。
死神君は、......さらに戸惑った表情だ。
......困っちゃった?どうして?
別に、死ぬことに対して恐怖がなかったら、そちら側はやりやすいんじゃ?
......もしかすると、今この場で......!?
余計なこといっちゃった!?
......まぁ、いずれは死ぬんだから、いいけど。
なのに。
死神君
死神君
......そっか。
そんなのは初めてだ。
死神君
死神君
じゃあ、一つだけ、望みを叶えてあげる。
つじつまの合わないことを言い出した。

プリ小説オーディオドラマ