翌朝、瑠菜が結月の部屋にやって来た。
噂をすればなんとやらだ。
結月の場合、今年初めに会った相手は、死神だが。
瑠菜はむっ、っと頬を膨らませ、
と叫び、どたばたと結月の部屋のすみにかくれる。
なかなかのまるみえっぷりだが、本人は隠れてるつもりらしい。
瑠菜担当の看護師さんがドアを開け、そして、瞬間で見つけた瑠菜ちゃんを引っ張って連れていく。
当然、7才の少女が大人に叶うはずもなく、
と駄々をこねている。
ようやく瑠菜は出ていった。
部屋はまた、静まり返った。
瑠菜は、結月と同じでずっと入院しっぱなしだ。
なかなか、こうずっと入院しっぱなしということはないので、数少ない友達である。
友達というより妹的な存在である。
あの元気っぷりをみると、病人とはとても思えない。
瑠菜の母でさえ言っていた。
このとおり瑠菜は結月が大好きだ。
すきあらば会いに来ている。
結月もまた、瑠菜が大好きだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!