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第7話

Rain Sick
786
2026/08/25 11:33 更新








俺の身体の全部を、貴方が作ったくせに。

貴方が、俺を、変えたくせに。

俺を貴方なしじゃ生きられない身体にしたのは、

貴方、だけなのに。


喧嘩別れ、しちゃいましたね。

本当に、些細なきっかけだった。

俺が全部悪かったのに、

別れを切り出したのは俺だった。


今更後悔したって遅いのに、

身体は、心は、貴方をずっと求めてる。



ねえ、貴方は今、どこにいるんですか?

あの眩しすぎる笑顔を、誰に向けているんですか?

別れた後、一度だけ、電話に出てくれたとき。

あのとき俺は、何も言えなかった。





正「もしもし、」

末「…なに?」

正「あのさ、俺…」

末「…なに?」

正「ごめん、やっぱり何でもない、」

末「…あっそ」

正「忘れて。おやすみ。」

末「…あのさ、正門、」

正「…なあに?」

末「…ごめん、」

正「あっ、」



そこで途切れた電話。

あの日から、もう一ヶ月経った。








雨の日は、無意識に隣を見てしまう。

低気圧で頭が痛くなってしまう貴方が、

いつもベッドで丸まっていたから。

だから無意識に、隣に手を伸ばしている。

窓越しに外を眺める。

窓についた水滴が滴り落ちて、

街の輪郭が、夢みたいにぼやける。




末「頭痛い…」

正「今日薬の効き悪いな、」

正「ごめんな、撫でることしかできなくて、」

末「んーん、それだけでええよ」

末「針刺されてるみたいにズキズキすんねんけどな、」

末「正門に撫でてもらったら」

末「痛くなくなんねん、」



嘘だ。痛くなくなるわけがないのに。

なのに貴方は、めんどくさがりで、

傘なんて持って行かないから。



末「正門」

末「雨」

末「迎え来て」



なんて、端的なメッセージを送ってくるもんだから、

貴方が濡れないように肩を抱き寄せ、

少し濡れてしまったところはそっと雨粒を払って。

貴方を追いかけて、それで、



正「止みそうにないなぁ、笑」

末「せやなぁ、笑」





ねえ、いっそかき消してくれよ。




末「…実家帰る、頭冷やしてくるわ。」




その日は雨だった。

スーツケースに荷物を詰め込んで

傘をさす貴方を、俺は止められなかった。


行かんといて、

そう、ぽつりと滲んで溶けた言葉は、

貴方の傘を滑り落ちる雨粒のように、

地面に吸い込まれていった。

貴方に、言葉が届いてほしかった。

なぜか流れた涙が痛くて。

でも、他でもない貴方を伝って、

この言葉が届いてほしかった。

どれだけ待っても、貴方は

メッセージに既読をつけてくれなくて。

雨の滴が残る部屋の中で、

変わることのない、

既読の二文字さえつかない無口な画面の

その静けさが余計に孤独を強くして

心を冷やしていく。

窓に残った雨粒を眺める。

逆さまになった夜景。

貴方のいない世界なんて、

世界そのものが逆さまになったのと

きっと同じようなもので。

現実と夢の境目すらわからない。

貴方を追いかけたくても、

貴方はもうここにはいない。





いっそ沈めてくれればいいのに。

貴方のいない世界を創り出したのは

俺のくせに、ずっとそう思っている。

ベランダに出て、適当にサンダルに足を引っかけて、

あ、誠也くん、ベランダ用のサンダル忘れてるやん、

なんて思いながら、少しだけ身を乗り出して

柵の外に手を伸ばす。


ごめん。俺が悪かった。だから消えないで。

戻ってきてよ。


手の隙間から零れ落ちていく。

雨粒に混じって、俺たちの時間も、関係も、

全部が零れて落ちていく。



あの日。貴方がいなくなってしまった日。

傘が揺れて、雨の中遠ざかる影が、

どうしようもなく切なかった。




もう一度だけ、チャンスがほしい。

触れられるはずなのに、触れられない。

形を持つ幻のような貴方に、

やっぱりどうしても触れたくて。

電話をかけた。

結局、俺が触れたのは、真っ黒な液晶と、

そこにたった一つだけ残された、

俺の愛が形を変えて歪んだ、哀だけだった。



もう少しだけでいいから、

時間がほしい。

いっそかき消してほしいけど、

でもやっぱり行かないでほしいから。


雨が降り続いている。

ようやく、ちゃんと、逃げずに向き合った。

たった一粒でいいから、

貴方の心に触れたい。

貴方を伝って、心に。




震える手で、通話ボタンを押した。

数秒間、いや、数分間にも感じる、

空白の時間。




末「……なに」

正「えっ、」

末「…おっそいわ、どんだけ待ったと思ってんねん」

正「…出てくれると、思わなかった」

末「……それで?」

正「あのさ、俺、」

末「…うん、」

正「…ごめん、やっぱり何でもない」



正「今、どこにいる?」




歌詞パロ難しすぎてAKAN😭😭

この後の展開はみんなの想像にお任せするし、

気が向いたら書くかも💭💘

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