第17話
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あなたの下の名前side
家の自分の部屋 にガリガリという音が走る 。
昨日…フェニックスワンダーランドに行って、あんなモヤモヤして泣いてしまったのは何故か 。
考えていても出てこない 。
でも、ぐちゃぐちゃなあの感情を 曲にしたかった 。
そう思って今歌詞を書いている 。
入れたいワードを口にして 。
書く度に頭によぎる 。
「関わらないで」
そういった時の彰人の顔 。
その感情は何 ? 困惑? 怒り?
そういったことも作詞に活かさないと私がダメになってしまう 。
昔もそうだった 。
辛いことを歌詞にして、まるで他人事のようにしてみると少し自分が楽になれた気がした 。
コンコン と扉を叩く音がして急いでパソコンの画面を消して紙を隠す 。
それから声をかける 。
ご飯 。
そういえば昼から食べてないし、もう12時だ 。
ガチャ
お姉ちゃんからおにぎりと水の入ったペットボトルを貰う 。
コップだと零してしまうことがあるからペットボトルを私はよく使っていた 。
お姉ちゃん、知ってたんだ 。
パタン
お姉ちゃんが部屋を出てからまたパソコンを立ち上げる 。
どうやらWiFi環境が悪いらしい 。
1本しか立ってないじゃないか 。
五線譜が書かれているノートを棚から取り出す 。
紙でもいいのだが、よく失くしてしまうのでノートにまとめている。
ガリガリ と音を走らせていると間抜けな音が鳴る 。
グーー
お姉ちゃんにもらったおにぎりをもつ 。
そのときフッとミクの顔が浮かんだ 。