姫山side



　　　　　　　　　　🍓 校舎裏 🍓




松田　「　ねぇ 、どこまで行くの ？　」




　　元太のその声を聞いた私は立ち止まって 、


　　元太に背を向けたまま口を開いた 。




　　　『　私 … 一つだけ … 元太に隠してた事が

　　　　　　　　　　　　　　　あって 、　』




松田　「　おん 。　」




　　言ってみる 、とは海人くんに言ったものの 、


　　いざとなると怖くて言えない 。




松田　「　何 ？　」




　　そういう元太の態度は付き合っている時と変わった 。


　　付き合う前の元太はこんなふうに素っ気なくて


　　何にも興味を示さなくて 、


　　女の人といるときはつまんなそうだった 。


　　付き合ってからの元太は変わった 。


　　元太から話しかけに来るようにもなって 、


　　たくさん笑ってくれて 、


　　幸せだった 。


　　なのに … その幸せを自分で崩した 。




松田　「　え 、言いたい事は ？　」




　　　『　… いいや …　』




松田　「　は 、 ？　」




　　私は元太の方を向いて 、


　　元太の近くに行って 、


　　ペンを出した 。




　　　『　これ 、　』




松田　「　あ 、それ …　」




　　　『　元太は付き合った記念にくれるって

　　　　　　　元太の宝物を私に預けてくれたけど

　　　　　　　今の私はもう元太のなんでもないから

　　　　　　　だからもうこのペンを …

　　　　　　　元太の宝物を … 私が持ってる

　　　　　　　必要はないよね 、　』




松田　「　え … ？　」




　　首を少し傾げた元太の手を取って 、


　　ペンを手に乗っけた 。




　　　『　話は … これだけ 、　』




　　　『　… じゃ 、　』




中村　「　あなた ？　」




　　　『　海人くん … ？　』