さくちゃんの事はもちろん大好きだけど、
ちょっとずつ普通になってきたのかな?さくちゃんまで手にかけたらさすがに辛くて壊れちゃうと微笑むと、そっかと優しく微笑まれる。
そう思った瞬間、口に感じた違和感。
偏愛家なのは那央だけじゃないって、と言ってさっきと同じように微笑まれても、恐怖対象でしかなくて。
口の中にまた流し込まれた粉が、身体中を蝕んでいく。
ボルシチの毒。
ヒ石と豚の肝臓を合わせて作る毒。
ヒ石は前海外に行ったお父さんに、豚の肝臓はご飯に使うって名目で調達すればいいよねって、さくちゃんと話したやつだ。
頭が追いつくようで追いつかず悶えながらも助けを求める。
助ける気なんてない。
私と同じ、自分のものになる過程を楽しむかのような声に、絶望した瞬間、
感覚が、失われた。
静かに風を切り、後ろに倒れる私は、最後に一言、
という声を遠く聞いただけだった。
~END~
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。