その後　、


　　　段々と会場に人が集まってきた　．


　　　私たちが司会を担当するのは


　　　このチャペルでの式の後の披露宴　．


　　　そろそろ先が始まる　．でも私は


　　　どこか上の空だった　．

　　　そんなアナウンスが聞こえて　、


　　　いぇな 側に腰掛けていた私は


　　　他の人と同じように　、


　　　後ろの大きな扉へ体を向けた　．





　　　ちらっと はじゅんさん 側を見れば


　　　同じくドアを見つめる ぐくくん の姿　．


　　　正面からもカッコよかったけど


　　　横顔も見入ってしまうくらい綺麗だった　．





　　　そんな私の視線に気づいたのか


　　　ぐくくん は私の方に視線を寄越した　．


　　　ばちっと音が鳴るくらい


　　　綺麗に目があって　、なんだか


　　　ずっと合わせていられなくて


　　　私からすぐ視線を外して


　　　がちゃっと開いた扉の方へ目を向けた　．





　　　拍手が響く中　、暫くその視線が


　　　まだこちらへ向けられていた気がしていたが　、


　　　私は いぇな たちに意識を集中させた　．




　　　先ほど見た真っ白なドレスに


　　　身を包んだ いぇな と　、


　　　その隣を歩く はじゅんさん　．





　　　手を叩きながら　、


　　　やはり思い浮かべるのは先ほどのことで　、


　　　私は気づかれないように


　　　小さく息をついた　．

　　　今思えば　、


　　　声がうまく出てくれなかったのは


　　　振られるのが怖かったかもしれない　．





　　　人生で初めて心から好きだと感じた人　．


　　　でも　、その彼はアイドルであって


　　　私の初めての推しでもある　．


　　　彼に　、私が相応しくないだなんて


　　　当然わかっていることで　、


　　　いぇりんさん とヨリを戻そうとしている


　　　と言われた以上　、


　　　彼がもう私のことを好きではない


　　　可能性だって十分にあった　．


　　　だからきっと　、


　　　初めて好きになった人に振られるのが


　　　怖かったんだと思う　．





　　　そう　、幸せそうに歩く


　　　いぇな と はじゅんさん を見ながら


　　　どこかぼーっと考えていた　．













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