先生の「席替えをします」この一言で全てが変わった。
大佑とは席が離れ、今までのように話すことは少なくなり、大佑はほかの女子とも沢山話すようになっていた。
すごく胸が苦しかった。
どうしてだろう。小学校の時は嫌いだったはずの人なのに。どうしてだろう。私は気がついた
大佑に恋をしているんだと。
私はすごく嫌だった。大佑が楽しそうにほかの子と話しているのも私と大佑が話す時間が減っていくのも。
そんなことを思っているとき、私の隣になった廉士という人と出会った。
初めは全く話したことがなくすごく怖い印象だった廉士だが、次第に少しずつ話すようになっていった。
廉士は恋の相談にも乗ってくれるしいつも優しくて面白い人だった。
どうしてだろう。廉士と話している時は心が落ち着く。そう思った。私は気がついたきっと、きっと、
廉士のことも好きになっていたんだと。
でも私はすぐに思った。この気持ちは消さなくてはいけないものだと。
そう思った。私は廉士の好きな人を知ってしまったのだ。知らなくていいはずだった。
廉士の好きな人は……
私の大親友のゆゆという女の子だった。
どうしてだろう。小学校の時に私が好きだった人はゆゆを好きになり次第にゆゆもその人にひかれるようになっていった。両思いだと知った2人は付き合うことになった。
今回もそうだ。ゆゆも廉士のことを好きになっていたのだ。
どうしてだろう。なぜいつも私が好きになった人はゆゆを好きになるのだろう。
両思いだと知った私はどうすればいい。
邪魔をすればいい?それとも苦しみながら応援すればいい?
いつもこうだ。応援してくれていたはずの親友がいつの間にか付き合っている。
あぁ、2人がお互いの気持ちに気づかなければ。そう思った。
だがそんなことは通じるはずもなくある日、ゆゆは私に相談してきた。
廉士がゆゆに好きな人を聞いたんだ。ゆゆは、
どうすればいいかな?嘘はつきたくないから本当のことを言うよ。
この言葉を聞いた瞬間全てが終わった。
2人は付き合う事になった。私の目からはそっと涙がこぼれた。
あぁ、こんな恋しなければ。
初めから私のずっと嫌いな人でいて欲しかった。怖い人でずっと。優しくしないで、私に笑いかけないで。辛い。
この気持ちを消さなくちゃ。
永遠に心の奥底に閉まっておかなくちゃ。
淡くて辛い失恋。
その日から廉士とは薄い壁ができ今までのようにじゃれたりすることはなくなった。
いつもこうだ。私は大佑が好きだ。だけど廉士と出会ったことで全てが変わった。
初めから思っていたんだ。大佑を好きなのに。
廉士に心をひかれていくなんて、いけない事だったんだ。初めから廉士への気持ちは消さなくてはいけないものだった。
廉士……
すごく、好きだったよ。ありがとう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!