戦場に戻って来て、皆さんの状況に絶望しかけた
それと共に、無惨への怒りが倍増した
確か、珠代さん曰く、無惨は分裂して始まりの呼吸の剣士である縁壱様から逃げたと聞きました
また、それを繰り返す気なんだ...ッ
私は無惨の元に走り、技を出そうとした。
けれど...
無惨を倒すためにとこの日のために作られたたくさんの薬。
一つ一つが無惨に作用し、確実に蝕んでいた。
お2人の努力、ここまで形となって成果を表しているのです..
心からの感謝の思いを直接伝えられないことがとても悔しいです..
その時、無惨は何も動作を起こしていなかった。
けれど、なぜかふとそう思った
けれど、私の声は彼の耳には届いておらず、彼はその足をひたすらに動かした
すると、私の足も自然と無惨の元へと動いていた
それと同時に、前動作なく無惨の体が眩しく光った
・
・
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一瞬でした。
先程のように一瞬で吹き飛ばされた
ダメージの全てを受け流すことが出来ず、身体中が痺れた
先程とは比べ物にならないほど半壊した建物
どこまでも続いているように見える地割れ
辺りに飛び散る赤い血
これが1つの人物から放たれた攻撃の結果と考えると、急に心が怯えた。
でも..今この場で怯えることは許しません..私が!
身体中から垂れる血を止血することなく足を前に出した
時には進む途中でふらついて倒れてしまうかもしれない。
ふらついても、倒れてもいい
進んだ事実。
それが何よりも重要で、私にとっても、あなたにとっても...きっと、自分を認める一部になるから
前方に見えていた無惨との距離を一気に詰め、その勢いを利用して無惨を押し倒した
ずっと言いたくて、言えなかった一言...
これは、無惨でも、仲間の皆さんへの言葉でもない。
私自身への言葉
無惨は唇をキュッと噛み締め、私を鋭い目で睨んだ
無惨は私を退けるためにもう一度広範囲攻撃を行った
しかし、その威力も、または範囲も先程より弱く、狭かった。
無惨もやはり消耗が激しくなっていたのです
吹き飛ばされた威力を足の裏で受け止め、回転を加えて威力を殺した
その時、再度逃げようとする無惨の前に人影が1つ見えた
無惨は行く手を阻む伊之助さんを攻撃しようとするが、疲労で技が出せないようだった
伊之助さんの声が段々と小さくなっていた。
これは疲労ではないでしょう
きっと、悲しいから
憎いから
涙が被り物の隙間からぼとぼととこぼれ落ちていた
隠の方々が迅速に応急処置を行い、段々と命の気配が濃くなっていた
私はいつもよりも大きく刀を操り、無惨の体に絡めた
糸から刀を切り離し、攻撃に移る
1人..また1人と希望がやって来る。
この希望を何一つ削ってはいけない
必ず、守らなければいけない
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。