ばらばらと肉片が散り、灰になっていった
その灰は風に流され、どこかに行ってしまった
私はそれを見た時、とても、綺麗だと思った
どんなに醜くて、残酷で、憎くても
そう思った
例え、醜くとも、必ずどこかに綺麗はあるのだと、思ったのです
無惨を倒した
平和が、戻った
私は無心に、その場に座り込んだ
か細いながらも確かに聞こえた冨岡さんの声。
私もその声につられて炭治郎さんの方を向いた
炭治郎さんは俯いたまま動くことなく、その場に座っていた
失われたその腕が、戦いの痛々しさを表していた
多くのものが涙を流し、勝利に浸る中、私は刀を握ったままだった
とても、信じられなかった
そして、私のその気持ちが伝わったかのように、それは起こったのです
先程まで俯いたままだった炭治郎さんは、失くしたはずの腕を再生し、襲いかかった
その事実に困惑する者が多い中、冨岡さんが冷静に指揮を取る
例え、その相手が弟弟子で、大切な人だったとしても
私ももう一度立ち上がり、必死になってそう呼びかける
それでも、炭治郎さんは唸りながらこちらを睨むだけだった
皆の思いは同じだった
刀を構える剣士達の手は震え、刀はカタカタと音を立てていた
その時、視界の隅から1つの影が飛び出した
人間に戻った禰豆子さんだった
けれど
炭治郎さんには、完全に理性はなかった
どんなに大切な友に声を掛けられようと、炭治郎さんは薙ぎ払ってまで拒絶した
炭治郎さんは禰豆子さんを掴んだまま、暴れ回っていた
自分だっていつ攻撃を受けるか分からない。
いや、その前にたどり着くこともできずに私が力尽きるかもしれない
それでも、、戦いが終わらない限り、私は命を燃やす権利がある
私は冨岡さんの制止を無視して突っ込んだ
爪が身体を裂き、頬を引っ掻く
突如、炭治郎さんの背中から骨を錯覚させるものが飛び出た
反応出来ても、身体が追いつかなかった私は、それに殴り飛ばされてしまった
それでも、、あなたが苦しみ続けるなら、私たちはいくらでも立ち上がる
戦いで緩んでいた組紐が解け、地面に落ちた
それをそっと手に取り、握り締めた
知っていますか?
組紐..今ではミサンガと言われるものが多いですが、そんな組紐には、色ごとに意味が込められているのです
私の組紐は緑色..意味は
私はもう一度走り、炭治郎さんの攻撃を避けつつ懐に潜り込んだ
スッと手首に組紐を巻き付けた
一瞬ですが、炭治郎さんの瞳に光が灯りかけた
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その後、炭治郎さんは静かに目を覚まし、涙を流した
その左目には光が灯っておらず、右腕も先程とは全く違っていた
だけど、帰って来た..
お父さん、お母さん、兄さん
煉獄さん、しのぶさん、時透さん、悲鳴嶼さん、蜜璃姉さん、伊黒さん、玄弥さん
胡夏さん、珠代さん、御館様
やっと、終わりましたよ^^
宇髄さん、アオイさん、なほさん、すみさん、きよさん、水無月さん
皆で帰りますね^^
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。