壁の崩れる音
似た性質同士の交じり合う高音
止まない足音
心臓の音までが聞こえてきそうなほど緊張で強張る空間
私が今から行くのはそんな所。
さっきまで戦っていたはずのその場所は火の粉や砂が飛び交い、まるでさっきとは全く違う戦場に来たようだった
つい現実逃避してしまうほど厳しい状況。
でも、あと四十分。
あと四十分耐えればいい
耐え切ればきっと、明るいお日様が私たちを照らしてくれるから..
微かに聞こえた炭治郎さんの声。
無惨の逃亡...
神様というのはいつでも味方をして下さるものではありません。けれども、いつか味方になってくれるからこそ深くそれを望み、希望を持つ
曲がり角の先から聞こえた伊黒さんの声。
私は地面を勢い良く蹴り、路地から出る
逃げ切れると確信に浸っている無惨の前にゆらりと現れた優春
私が行先を塞いでもなお、無惨は進行を止めなかった。
ひたすらに真っ直ぐ走り、障害物である私を退けるために広げる触手
私はそんな貴方に、みんなの想いをぶつけてやります
いくら触手が体を裂こうが、私は一心不乱に無惨の懐へ刀を向けた。
そして..
刀は無惨の右胸を抉るように刺さり、動きが止まった
そして、無惨の背後から1つの影が飛び出し、無惨の頸に刀を突き刺した
刀を勢い良く引き抜き、力いっぱい無惨を蹴り飛ばす。
ここから先は通さない..
私たちが、無惨の壁となって立ってやる
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。