無惨の触手が多方向で暴れる
と、再度集中し、刀を振る
いつも通り技を放ったつもりだった。
だけど、速さも、威力も、全てが落ちていた
疲労
その事は一切考えていなかった
ただ一心不乱に、刀を振り続けていた
それに、私の体が着いて来ていなかったのです
私は体を無理矢理に動かして、触手をどうにか避けた
その僅かな時間でも、はっきりと見えた。
ピンクに緑があしらわれており、淡くも綺麗な、大好きな人の姿
一瞬笑顔を浮かべた蜜璃姉さんでしたが、すぐに切り替えて視線を無惨に移した
蜜璃姉さんは、無惨の触手を腕ごともぎ取った
それには流石の無惨も驚愕の色を浮かべていた
どうだ!蜜璃姉さんはすごいんです!と、私は心で自信たっぷりにそう呟いた
鋭い風の斬撃が入ったと思うと、そこには不死川さんがいた
以前にも言ったように、私には痣は出ませんでした
けれど、痣がなければ限界を越えられないという訳では無いはずです
程度は違うかもしれませんが、越えられる分は越えてみせます!
すると、無惨の形がみるみる変形していった
先程まで保っていた青年の中に憎ったらしさがある顔はなく、ただの化け物の成り果てた
憐れむ必要なんてない。
あいつは鬼の始祖。
1番悪い奴。
そんなことは分かっています
けれど
あんな姿、、例え許すことの出来ない最低な敵だとしても、悲しすぎます...ッ
炭治郎さんは無惨の最も近い位置にいたため、無惨は炭治郎さんを食べようとしていた
声を張り上げた所で何も意味が無いかもしれない。
それでもいい。私はただ叫んで、足掻いて、泣いて、苦しんで、喜んで、幸せを感じたい
人間は私情、理不尽が糧となってできています
壊したいけれど壊すことの出来ない暖かい心は、とても心地が良いから
私はその声に全力の気持ちで答えた
山と山の間から零れる暖かい光。
とても遠くで光っているはずなのに、とても近く感じて、暖かい
その光に触れ、弾む爪先と揺れる髪、まるで操られているかのように動く体
全てに、自信を持てた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
TAKE2
速報:作者、無惨に勝つ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!