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第4話

file#1-3 お隣盗難事件
縦岸 健介
あ、あのお爺さんですか……?それは少し無理があると思いますが……
僕は率直な意見を述べた。それはそうだ。あんなに弱々しいお爺さんがこんな犯罪をしでかすのであろうか?
由香
証拠があるのよ。
そういって由香さんは、僕たちを部屋に入れた。そして、窓の隙間に、顔を突っ込んだ。
由香
こうやって左側を見て!あのじじいの部屋の窓と、私の部屋の窓、すっごい近いのよ!
「ほら、あんたも見て!」と言われ、1mぐらいの隙間に顔をいれてお爺さんが住んでいる部屋の方向に首を曲げた。……確かに、窓と窓の間はは50㎝あるかないかっていうぐらいの近さだ。
縦岸 健介
で、でも、右隣の人って可能性もありますよ?
僕は右側に首を曲げ、言う。右側の窓とこの部屋の窓は2m近く離れているが、その間に頑丈そうなパイプがあるので、なんとか頑張れば入れそうな気がする。
由香
それは……!
尾崎 理央
じゃあ、由香さんと隣同士の人の話を聞いてみましょう。
由香さんの話を遮って、理央さんが言った。
由香
じゃあ、お願いね。私はちょっと保険会社にどうにかならないか聞いてみるから。
そういって、由香さんは消えていった。
尾崎 理央
では、205号室の方から話を聞いてみましょう。
理央さんは205号室の前に行き、インターホンを押した。すぐに鍵を開ける音が聞こえたので、この人は普通に土日は仕事を休んでいる人なのだろう。
'
…はい?どなた、ですか?
中から出てきたのは奇抜…というか、派手……な格好をした20代ぐらいの女の人だった。女性のファッションはイマイチ分からないのでどう説明したらいいのかちんぷんかんぷんだが、目を引くような眩しい色の服で全身を包んでいる。
尾崎 理央
いきなりですが、今日の9時から10時までの間、何をしていましたか?
縦岸 健介
ちょ、ちょっと!?理央さん!?
会って5秒で調査を始めるとは…。初対面でアリバイをいきなり求めるなんて、今日の理央さんは久しぶりの仕事でテンションが上がっているに違いない。
'
な、何ですか、その推理ドラマみたいなセリフ……。はっ!まさか、この辺で殺人事件とか!?
女性はテンションが上がって辺りを見回した。
縦岸 健介
あ、…いえ。そんな大事では。ただの強盗です。僕達はその調査をしていまして……
「ただの」、とは言ったがこの事件は結構大事だろう。盗まれた100万円といえば、サラリーマンの年収と一緒なのだ。強いて言えば、一年分の給料を根こそぎとられるのと一緒だろう…。まあ、今回の場合、ボーナスで貰った100万円らしいのだが。
彩乃
なぁんだ……推理ドラマとかの見すぎかな…。あ、すみません、話それましたね。私は佳山 彩乃といいます。
尾崎 理央
彩乃さん。改めて聞きますが、9時から10時の間何を?
彩乃
9時から、ですか…。あ、それなら、私は8時すぎからここの近くのファストフード店で朝ご飯を食べていました。土日は疲れていて料理する気がないので。
そういって彩乃さんは少しはにかんだ。店に行っていた、というならそこの店員などに聞けばすぐに分かるだろう。聞けばアリバイは成立する…。
尾崎 理央
ありがとうございました。では。
そういって理央さんは強引にドアを閉めた。
縦岸 健介
り、理央さん!?
今日の理央さんはとてつもなくグイグイ来ている。僕はいつもは静かな理央さんとのギャップに驚かされた。
尾崎 理央
時間があまりないんですよ。全て小走りで調査します。
そういって理央さんは203号室のインターホンを押した。ここの部屋には、確か黒星のお爺さんが住んでいるはずだ。はたして、この人が本当に犯人なのだろうか……。
お爺さん
おや、さっきの若造とお嬢ちゃんか。まあ、入りなさい。
僕も理央さんも26歳で、「若造」や「お嬢ちゃん」と呼ばれる歳では全くないのだが…。まあ、そこは目を伏せるとしよう。僕は言われるがままにお爺さんの部屋に入っていった。今からこの人に疑いをかけるのに、ばつが悪い気もするが。