友達「あ~ッあなた!また、鬼滅~?」
友達が私の手に持っている本を見て言う
『いや~~んへ、12巻の無一郎くん超カッコイイ…』
友達「まあ、ウチもあなたに勧められてハマったんだけどね!」
『でっしょ?!やっぱ推しはいのす((』
友達「善逸かなぁ!」
『善逸なの!?まぁ、人気だよね~~!でも私は伊之助おやびん』
友達「美形過ぎる顔欲しい」
『いやまじそれな』
友達と推しを語りながら歩道を歩く
友達「あ、ウチここで曲がる!あんまり鬼滅にのめり込むと死ぬかもよ?!」
『いやそんなこと無いだろお前ばか?』
友達「今日の掃除変わってあげたのは??」
『ごめんなさい貴女です』
友達「まあ、冗談!じゃあね、気を付けて~~!」
信号のところで友達に手を振り返す
友達が信号を渡りきったあと、コンビニに用があったためそこに向かう
コンビニに着くと、軽快な音楽が店内に響いた
店員「いらっしゃいませ~」
飲み物が置いてあるコーナーへ行くと、頼まれていた牛乳があった
『あっコレ安い』
なんて言いながら牛乳を手に取ってまたあの音楽が流れた瞬間__
男「おい聞け!!俺はこのコンビニで立てこもる!!お前らが人質だ!!逃げたら殺す、このコンビニから出てみろ!!お前らはあの世だ!!」
男の怒鳴った声が聞こえた
『は?』
牛乳を戻しレジの方まで行くと男がなにやら店員に要求していた
男の手にはナイフが握られている
女の子「…ッうえええええん!!おかああああさん!!」
お菓子を選んでいたのだろうか、小学2年生くらいの女の子があまりの怖さに泣き出してしまった
急いで女の子の元に駆け寄る
『大丈夫、大丈夫だよ!落ち着いて~~~』
ギュッと抱きしめてあげればヴン…とか細く返答がかえってくる
女の子の手を握り、レジから離れておいでと言うと小走りで奥の方へ行ってくれた
男「警察を呼んだか!!?」
店員「はっ、はい……!」
店員さんも、この状況相まって涙目だ
『ちょっと!!何してるんですかこんな所で!!』
男「アア?!なんだてめぇ!!うるせえ餓鬼は黙ってろ!!」
私の事を怒鳴りつけ、再び店員さんに向かい直す
『(頭可笑しいのかな??)』
すると私が入って来た時と同じ音楽が店内に響いた
音の方へ目を向けると、男の子が涙を流しながらドアを開けている所だった
《男「逃げたら殺す!!…お前らはあの世だ!!」》
そう叫んでいた男の声が頭の中に響き渡る
男「ッおいコラこのくそ餓鬼!!」
男はナイフを持ち男の子に走り出した
私はバッとリュックを落として男よりも少し先に男の子に抱き着いた
それと同時に、感じる痛み
胸の辺りを見れば、どくどくと血が流れていた
『…は?』
店員「キャッキャァァァァァ!!!!」
男「ッお前らが悪いんだからな!!」
男の子「おっ、お姉ちゃん!!」
『…はは、大丈夫だよ、君は大丈夫?』
流れていく血が私の足元を濡らしていく
《友達「死ぬかもよ?!」》
『はッ…おいおい…あいつ予言者かよ…』
だんだんと身体に力が入らなくなる
『お前…今すぐこんなことやめろよ…』
そう男に口角をあげて言ってやったと同時に私は意識を完全にとばした
・
『…ッ??』
何処か、ふわふわとした所に居る
目が開かない
身体も心も浮いているような感覚
?「初めまして、あなたさん」
誰かから声をかけられた
『…だ、誰ですか?』
?「名乗れませんが、貴女の行動とても素晴らしかったです」
『…そうですかね…皆大丈夫かなぁ』
?「貴女はとても優しい方だ…」
『はは…でも、まだ死にたくなかったなぁ…』
ぽつりと肺の中の空気を出すように呟く
『どうせなら鬼滅の世界で美人に生まれて…チートキャラで無双したかったわ…いや、無理か…』
何をほざいてるんだろう、私は
誰かが、クスッと笑った
?「ふふ…貴女は報われるべきですね…では、頑張って下さい…」
誰かがそう言った瞬間、瞼を閉じていても分かるくらいの光が私を包んだ___
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。