第77話

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2023/04/23 06:49

宇髄「( ──忍びは存在する。
姉弟は9人いた。15になるまで7人死んだ。一族が衰退していく焦りから親父は取り憑かれたように厳しい訓練を俺たちに強いた。
生き残ったのは俺と2つ下の弟のみ。そして弟は親父の複写だ。親父と同じ考え、同じ言動、部下は駒。妻は後継ぎを産むためなら死んでもいい。
本人の意思は尊重しない。ひたすら無機質。

俺はあんな人間になりたくない。)」
 ╴宇髄 side ╴



産屋敷「つらいね、天元。君の選んだ道は」
宇髄「…!」
産屋敷「自分を形成する幼少期に植え込まれた価値観を否定しながら、戦いの場に身を置き続けるのは苦しいことだ。

様々な矛盾や葛藤を抱えながら君は…君たちは、それでも前を向き戦ってくれるんだね。
人の命を守るために」

風に吹かれて桜が舞う。

こちらを振り返り、貴方は笑った。

産屋敷「ありがとう。君はすばらしい子だ」
宇髄「(…俺の方こそ感謝したい。)」





お館様、あなたには。

命は懸けて当然。全てのことはできて当然。

矛盾や葛藤を抱える者は愚かな弱者。

ずっとそんな環境でしたから。

 ╴side end ╴

妓夫太郎「ん?ん?んん?」
宇髄「ハア…ハア…」
妓夫太郎「ヒヒッヒヒヒヒ!」
宇髄「何を笑ってやがる」
妓夫太郎「やっぱり毒効いてるじゃねえかじわじわと!効かねえなんて虚勢張ってみっともねえなあ!ヒヒヒヒ…」
宇髄「いーや!全ッ然効いてないね!踊ってやろうか!
絶好調で天丼100杯食えるわ!派手にな!!」

言った途端走り出して、刀を振るう。

避けられたのを妓夫太郎の頭目掛けて斬りかかり、頭が下がったことをいいことに堕姫の腹に蹴りを入れた。
 堕姫「あっ…!」
妓夫太郎「ぐっ…俺の妹を蹴んじゃねえよな!!」
堕姫「このクソ野郎!!」

妓夫太郎と堕姫の帯が向かって来る隙に、取り出した火薬玉を投げ付けた。

妓夫太郎は避けたようだが…堕姫の方は帯に当たって爆発、堕姫の悲鳴が聞こえると同時に斬撃を入れる。

妓夫太郎「(特殊な火薬玉だな…鬼の体を傷つける威力、斬撃の僅かな摩擦で爆ぜる。気付かねえで斬っちまってくらったなあ…すぐ攻撃くらうからなあ…あいつは…)」

堕姫のおさらばした頚と体が地に落ちる。

妓夫太郎の息を飲むような声が聞こえたか分からない間に、宇髄は妓夫太郎の頚に刀を伸ばしていた。

妓夫太郎「ッ!?(刀身が伸び…!刃先を持ってやがる、どういう握力してやがる!)」
宇髄「いけ!」

惜しくも微かな切り傷だけ付けた刀は宇髄の手に戻っていく。
 
宇髄「チッ…こっちはしとめ損なったぜ」
堕姫「ううう!!! また頚斬られた!!クソ野郎!!クソ野郎…!!絶対許さない……悔しい…!!悔しい…!!何でアタシばっかり斬られるの?!あああ!!」
妓夫太郎「…お前もしかして気付いてるな?」
宇髄「何に?」
妓夫太郎「気付いたところで意味ねえけどなあ!お前は段々と死んでいくだろうしなあ…こうしてる今も俺たちはじわじわ勝ってるんだよなあ…!」



『じわじわ勝ってるんだよなあと言われたら!!』
伊之助「それはどうかな!!?」
『伊之助ェ!!さっき教えたじゃん!!次は答えてあげるが世の情けだってば!!』
伊之助「知らん!!」
『んもー!!やりたかったのに!!』
善逸「(スピー)」

爆発して崩れた家の壁からロケット団参上!!やりたかった!!

あと宇髄さんなんか原作より笑顔になってない!?気のせい!?!

妓夫太郎「なんだ?こいつら…」
堕姫「えっ…」

どこからか足音が聞こえたと思えば、宇髄さんの前に市松模様の羽織…炭治郎が見参した。

ここの登場シーンまじカッコよすぎない?

妓夫太郎「あ?」
堕姫「あっ…」
炭治郎「ハアッ……ハァッ…」
伊之助「グハハハッ!」
宇髄「てめえら…派手な登場じゃねえか!気に入ったぜ!!」
妓夫太郎「ハッ…下っ端が何人来たところで幸せな未来なんて待ってねえからなあ…全員死ぬのにそうやって瞳をキラキラさすなよなぁ…」
炭治郎「(…鬼が2人になってる…どういうことだ
そして帯鬼も死んでいない。どっちも上弦の陸なのか?分裂している?だとしたら…本体は間違いなくこっちの男だ…
においが違う…においの重みが、喉の奥が麻痺するようだ)」

炭治郎の方に目を向けると小刻みに手が震えている。

包帯で何とか刀と繋ぎ止めている炭治郎の手。

宇髄「勝つぜ!俺たち鬼殺隊は!」
堕姫「勝てないわよ!頼みの綱の柱が毒にやられてちゃあね!」
炭治郎「ハッ…毒?、」
『何言ってんだ堕姫ー!!アンタここまでで何回頚斬られてんだー!!』
堕姫「殺す!!」
宇髄「お前ほんと静かにしてらんねえな!!余裕で勝つわボケ雑魚が!!毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ!」
堕姫「強がってんじゃないわよ!」
宇髄「うるせえ!人間様をナメんじゃねえ!!コイツらはなあ4人とも優秀な俺の継子だ!逃げねえ根性がある!」
伊之助「ハハッ!!まあな!」
『伊之助…(お前ってやつはほんとに可愛いな!!)』
宇髄「手足がちぎれても食らいつくぜ!そしててめえらの倒し方は既に俺が看破した!!

同時に頚を斬ることだ、2人同時にな!そうだろ!!」

宇髄さんが刀を構えながら堂々と話している。

それを見つめる炭治郎。私たちも宇髄さんを見つめている。

宇髄「そうじゃなけりゃ、それぞれに能力を分散させて弱い妹を取り込まねえ理由がねえ!

ハッハ~~!!チョロいぜお前ら!」
『宇髄さんだって結構煽るじゃん!』
伊之助「グッハハハ!!なるほどな!簡単だぜ!!俺たちが勝ったも同然だな!!」
妓夫太郎「その簡単なことができねえで鬼狩りたちは死んでったからなあ…柱もなあ!
俺が15で妹は7食ってるからなあ…!」
堕姫「そうよ!夜が明けるまで生きてたヤツはいないわ!」
善逸「スゥ…」
堕姫「長い夜はいつも私たちを味方するから。
どいつもこいつも死になさいよ!」
宇髄「ッ!」

堕姫が宇髄さん目掛けて放った帯は、轟く雷に空高くうたれた。

隣の善逸は既に上の方だ。は~~いつもあんなんじゃないからいいんだろうなあ。そんなこと考えてる場合じゃないけど。

堕姫「グッ…」
炭治郎「善逸!」
伊之助「蚯蚓ミミズ女は俺と寝ぼけ丸とアホ子に任せろ!!」
『アホ子って私!?信じらんない!』
伊之助「いーから行くぞ!!お前らはその蟷螂カマキリを倒せ分かったな!!」
炭治郎「2人とも気をつけろ!」
伊之助「おうよ!」
『イイシーンでの名前何とかしてよ伊之助』

宇髄さんと炭治郎、大丈夫かなあ……心配してる余裕ないけど、2人が気になって仕方ない。

後ろ髪を引かれる、ってよく出来た言葉だよなあ。

伊之助の後を追って私も跳んだ。


堕姫「お前!あの時の…」

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