『ン"ン…何処だ…』
目を覚ますと、地面に横たわっていた
??「あ、起きた? 累兄は今戦闘中だよ。お父さんもお姉ちゃんも鬼狩りの柱に殺されちゃった…」
『(しのぶさんと冨岡さんか…)…てか誰ですか貴方』
全体的に白いのは累とかと同じだけど、こんな鬼原作に出てない
『(イレギュラー…)』
??「あぁ、自己紹介がまだだったね! 僕は累兄の弟で、睡って言うんだ! 僕の血鬼術は人を眠らせるのさ!」
いやそのまんますぎんだろ… (呆れ)
睡「首に蜘蛛を咬ませないと発揮出来ないんだよね~」
『じゃあ刺されたと思ったのは…』
睡「蜘蛛に咬まれたんだよ!!」
『なるほどね…』
立とうとすると上手く足に力が入らずよろけてしまった
睡「ああ、動かない方がいいよ! 僕の血鬼術は眠らせた人を痺れさせるんだ。それも動けば動くほど痺れが酷くなるよ」
『うわ最悪やん! でもまあ動くけどね!!』
痺れる腕に鞭を打って、刀を握る
良かった、刀は取られてない。
睡「ああっ!! 累兄に言われてたのに刀取るの忘れてたなぁ! また怒られちゃうや!!」
『抜けてるね~! 私に斬られちゃうよ』
そう言うと睡はニヤリと口角を上げた
睡「大丈夫だよ! 此処にはヒトには見えない蜘蛛の糸が張り巡らされているからね! 殺傷能力も凄く高いよ!!」
屈託ない笑顔で睡は言う
目を凝らしてみても見えないので、嘘は着いていない
『めんどくさいなァ…斬ればいいじゃんか!!』
睡「硬いけど大丈夫~~~??」
『うるさい黙って!!!』
睡はアハハと笑って、私と距離を取った
睡「じゃあここまで来てみなよ!! 累兄が強そうって言ってたし試す価値はあるしね!」
『お前に試されてたまるかよ…ッ!』
まずは糸の強度がどれくらいなのかを確かめたい。
さっきの累みたいな糸の強度だったら技がないと斬れない
『まずは試しに…!』
刀を一振すると、キィィンと音を立てて刃が止まった
『ほう…結構硬いじゃんか!! 無理!! 疲れるじゃん!!』
睡「でしょ~~! 寝てる間に累兄から血を分けてもらったんだ~! だから強度は申し分無し!! 君も諦めて鬼になりなよ~~」
『それは無理みが強いかな』
息を吐いて構えをとる
『ッ』
構えの時に脚を糸で少し切ったみたいだ
『(どんだけ張り巡らせてんの…)』
『 碧の呼吸 弍の型 碧水舞 』
もう身体にできる切傷は気にしない
私は流れるように張り巡らされている糸を斬っていく
睡「わ~~! 綺麗綺麗!! 舞を踊っているみたいだね!!」
『(コイツは童磨タイプだ…めんどくさい…)』
あっという間に睡の所に近付く
睡「わあもうこっちまで来ちゃった! 凄いね! まあ斬られる気は無いけどね」
『逃げんな!! この野郎、一気に終わらせて貰う!!』
睡「それはどうかな!!」
そう言って睡は小さい手から糸を出した
近付いていた私は出てきた糸を避けきれず、出てきた糸が左腕に貫通する
『ッッいっだ!!!』
睡「もっともっと痺れてくるよ~~! 楽しいねぇあなたちゃん!!」
『全ッ然楽しくないんですけど?! ちょっと黙って!!』
痛みが来て、目に涙が溜まる
『その笑顔ホント癪に障る!!』
睡は私の周りをチョロチョロと回って、私を挑発してくる
『(ウッゼェェェェ!!)』
睡「あっれ~~~もう終わり~~~??」
息を深く吸って、吐く。
今度こそ、仕留める。
フゥゥゥゥゥと私の息を吐いた音が、睡の声を中和させた
睡が私の視界に入るところを狙って、
『 碧の呼吸 漆の型 透明碧の嘘 』
私は大きく弧を描きながら刀を振った
睡「何してるの、当たってないよ!」
睡は刀をただ一振しただけの私の前に来て笑う
『そんなこと言ってられるのも今の内だからね』
今度は私がニヤリと口角を上げた
スパッと見事に斬られた睡の頚が空中に飛んだ
睡「…え??」
『良かった、君すっごいウザかったから』
コロリと転がった睡を見て、私はさっきとは違う微笑みを浮かべた
睡「あ…お姉ちゃん…?? お姉ちゃんなの…?? ごめん…僕が…お姉ちゃんのこと…」
ポロポロ溢れ出す睡の涙が、湿った土を更に湿らす
『…大丈夫、ちゃんと謝ればきっと許してくれるよ』
崩れ始めた髪をサラリと撫でれば、睡は「有難う…」と残して完全に崩れていった
『お幸せに、睡くん…』
ズキズキと痛む左腕を抑えながら夜空を見上げる
オウム「あなた、あなた!! 大丈夫か?! 竈門炭治郎の件で、あなたも呼ばれてるゾ! 本部に行かないと!!」
隠「…碧元あなた様ですか…?」
『はい…縛るんですか??』
隠「本部からそういう命令でして…」
『大丈夫です、お願いします』
腕を縛られ背中に乗せられて、私は襲ってくる睡魔に抗わずに眠りについた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。