第3話

Story2
290
2020/12/11 03:26
ホンソク side

ずっと好きだった彼女が目の前でミモザを飲んでいる

美しい黒髪は色褪せることなく昔と変わっていなかった

彫りをいかした濃いめのメイク、甘い香水、ボディラインを強調した服

お酒を飲みながらあなたとの思い出がフラッシュバックする

同じ高校の特進コースのあなた、芸能コースの僕

いつも低めにまとめたお団子

ナチュラルに仕上がったメイク

規定よりやや短いスカート

通学のバスでいつも見かけてた

バッジをみると僕と同じ学年だがコースが違うことがわかる

名前を知りたくて特進コースの友達に聞いたっけ

あだ名が氷の女王だったね

容姿端麗、成績優秀、唯一の欠点が笑わないってことくらいでさ

でも知ってるんだ、あなたが笑うと可愛いってこと

バスの中でバッグにつけていたBIGBANGのストラップを落として、それを拾って渡してくれた時、笑ってくれたよね

しかも同じ曲が好きと言ったの、覚えてる

校舎も違って授業も一切被らなくて、何度学校で探したことか

屋外にある螺旋階段で昼休憩にヘッドホンしながら踊ってるのをみて声をかけずにはいられなかった

それから昼休憩に放課後、一緒にダンスしたっけ

寒い日の夕方、あなたに告白したんだ

芸能コースは恋愛禁止だから隠れてデートしたっけ

そして3年生の秋になったらあなたは受験の為、螺旋階段ではずっとテキスト持ってた

僕はその横にいるだけであったかくて幸せだった

ソウル大学に楽々受かる成績の裏にはずっと努力してることも知ってた

受験の前日、約束したよね

僕がアイドルになって1位を取れたら学校の前にあるカフェで待ち合わせしようって

アイドルになる訳だからデートとかはもちろん連絡も取れなくなるけど番号やSNSは変えずにそのままでいようって

仕事の付き合いとかで練習生同士2人で出かけることもあったけどいつだってあなたと重ねていた

ただその出掛けるのだって断ればよかった

そのことがきっかけで熱愛報道になった

事務所は火消ししてくれたけどネットの火までは消えなかった

けどあなたなら信じてくれてると思ってた

しばらくしてから知ったんだ

あなたがレースクイーンになってて、他のアイドルと付き合ってるということに

それもあなたが好きだと言っていたBIGBANGのTOPさんだった

レジェンドに駆け出しの僕が敵う訳ない

ずっとあなたのインスタを見ていた

そして1位を取った翌日にあなたのカトク、インスタ、電話にメッセージを送ろうとするとアカウントが消えていたり、更新が2年前で止まっていたり、機械的なアナウンスしか流れなかった

レースクイーンのインスタアカウントにDMを送るも既読にはならなかった

もしかしたら既読をつけずに読んでると思って次の日待ち合わせ先のカフェに行く

オープンからクローズまでカフェが見える駐車場であなたの姿を待っても現れなかった

宿舎に帰ればみんながいた
シノン
シノン
ヒョン、おかえり
ホンソク
ホンソク
ただいま
シノン
シノン
どこ行ってたの?
ホンソク
ホンソク
昔約束した場所にね
シノン
シノン
それで?
ホンソク
ホンソク
来なかったよ
シノン
シノン
相手はどんな人?
ホンソク
ホンソク
この人
あなたのインスタのページを開き、見せる
シノン
シノン
綺麗な人
ホンソク
ホンソク
でしょ?

彼女なんだ

ううん、彼女だったこと
シノン
シノン
どういうこと?
あなたとの思い出を語る

みんな静かに頷きながら聞いてくれる
イェナン
イェナン
明日、行ってみたら?

日付間違えたかもしれないし、もし17時になっても現れなかったらやけ酒付き合うからさ
ホンソク
ホンソク
わかった
翌朝、行っても現れなくてもしかしたらと思ってよくあなたのインスタであがっているクラブの近くにいく

すると薄ら灯りだしたネオン街をヒールの音を鳴らしながら歩くあなたを見つけた

声をかけてみるとどうやらデートに向かうらしい

やっぱり僕じゃない誰かが側にいることがわかる

もしかしたら嘘かもしれないと思って、いや実際に彼氏といるところを見ないと信じられなくてあなたのインスタを確認する

するとクラブで踊っているみたいだ

再びインスタを確認するとクラブに行ってる人があなたとラッパーがVIPルームに入る写真と一緒にタクシーに乗り込む写真をあげていた

あなたがよく仕事終わりに行くというバーに仲のいいメンバーでいく

もしかするとそこに2人がいるかもしれないという期待を抱く

個室に通され、色んなことを話していた
イェナン
イェナン
本当にここにくるの?
ホンソク
ホンソク
きっとくる

ごめん、付き合わせて
イェナン
イェナン
いいけど、久しぶりに会ったあなたさんはどうだった?
ホンソク
ホンソク
作り笑顔だった

僕が好きだった笑顔ではなかった
シノン
シノン
そっか
ヨウォン
ヨウォン
ちょっとトイレ行ってくる
ヨウォンが個室を出るとあなたがいたらしい

それも1人で

個室に招く

目の前のあなたはやっぱり綺麗で大好きだ

約束は覚えてくれてた

それだけでも嬉しかった

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