「菊池、後ろ経験あんの、?」
中丸くんが俺に訪ねてきた。
どーだと思いますか、と俺がはぐらかすように答えると、中丸くんは
「で、お前から誘ってきたくせに、」
と呟やいた。
「、、、、ありますよ。」
中丸くんに聞こえるか聞こえないか程度の声で俺は先程の質問に返答した。
「ふーん、そっか、相手は俺が知ってる人、?」
意外に興味があるのか質問された。
それに対して俺は、何で今から抱くやつの過去の相手なんか知りたがるんですが?と無愛想に答えた。
そう、中丸くんに俺の恋心を気づかれてはいけない。
きっと迷惑かけるだけだから。
この人の邪魔にはなりたくない。
ただ、少し、、少し側に居たいだけ。
それが、いじりあうだけの、ただの先輩後輩という立場でも、、、
貴方が、、、優しいから、俺はそれに漬け込んでしまっている。
それを言い訳にしている。
そんなんじゃ、、、、
俺はいっときの関係では満足できなくなってしまう、、、
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。