はっとした。
これは、言ってもいいものなのか?
果たして言ったとして信じてもらえるのか?
頭の中で高速で考えた。
母が私のかたまった様子を不審に思っている。
それはそうだろう。もし話している途中で相手が止まってしまったら誰しも驚くだろう。
文句を言うならはじめから私に聞くな、
と言いたいところだがそんなことを言ったら夕飯がぬきにされそうだからここは黙っておく。
私の部屋は2階の片隅にあり、うちの家の階段はとても急で気をつけていないと転びそうになる。
部屋のドアを開けて中に入る。
その瞬間目を疑った。
谷くんがいる。
なぜ?
お母さんが部屋に向かってくる足音が聞こえた。
谷くんが見つかる!どうしよう!
ガチャ
母は、谷くんが目の前にいるにも関わらず平然と私を見つめる。
見えていない…?
母が出ていく
なぜ?なぜ死んだはずの幽霊の谷くんが私の部屋にいるの?
実はを言うと、私は谷くんのことが好きだった。
でもそれは、まだ生きていた谷くんで今私の目の前にいる谷くんは、知らない
狭い部屋に静寂が広まる。
あ、言葉を間違えた。
こんなひどいこと言ったら傷つくに決まってる。
私の予想とは全く逆方向の展開へと転がり始めた。
彼は私が理解してくれて嬉しいというように笑顔である。
なんでええええええええええええ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。