前の話
一覧へ
次の話

第2話

2人の夏休みの始まり
60
2018/08/24 00:59
あなた

ただいま

お母さん
あら、遅かったわね
あなた

うーん、本読んでてさーそしたら…

はっとした。
これは、言ってもいいものなのか?
果たして言ったとして信じてもらえるのか?
頭の中で高速で考えた。
お母さん
んー?
母が私のかたまった様子を不審に思っている。

それはそうだろう。もし話している途中で相手が止まってしまったら誰しも驚くだろう。
あなた

いや、なんにもないよ

お母さん
えー?そおー?
あなた

うん

お母さん
あ!今日の夕飯何にしよっか!
あなた

今日は~、ハンバーグがいい!

お母さん
ええ、昨日もお肉だったじゃないー
文句を言うならはじめから私に聞くな、
と言いたいところだがそんなことを言ったら夕飯がぬきにされそうだからここは黙っておく。
お母さん
まぁ…いっか、
あなた

やったあ!

お母さん
ふふ、さ!はやく着替えてきなさい
あなた

はーい

私の部屋は2階の片隅にあり、うちの家の階段はとても急で気をつけていないと転びそうになる。
部屋のドアを開けて中に入る。
その瞬間目を疑った。

谷くんがいる。

なぜ?
谷くん
よ、!あなた!
あなた

きゃあああああああああああああ

お母さん
なによ、大声出して
お母さんが部屋に向かってくる足音が聞こえた。
谷くんが見つかる!どうしよう!
ガチャ
お母さん
どうしたのー?
母は、谷くんが目の前にいるにも関わらず平然と私を見つめる。

見えていない…?
あなた

いや、ちょっと虫がいて…

お母さん
なによー、あんた別に虫怖がる子じゃないでしょー
あなた

き、きもいじゃん!

お母さん
まあ、いいわー、近所迷惑なるからあんまり大声出さないでねぇ、もう
あなた

ごめんなさい

母が出ていく
なぜ?なぜ死んだはずの幽霊の谷くんが私の部屋にいるの?
谷くん
いきなり来て、ごめん
あなた

うん…

実はを言うと、私は谷くんのことが好きだった。
でもそれは、まだ生きていた谷くんで今私の目の前にいる谷くんは、知らない
谷くん
あのさ…
あなた

ん?

谷くん
俺…あなたのことが好きなんだ!
狭い部屋に静寂が広まる。
あなた

はい?

谷くん
好きです。
あなた

え…。まって、

谷くん
うん
あなた

私に幽霊と付き合えと言うの?

あ、言葉を間違えた。
こんなひどいこと言ったら傷つくに決まってる。
谷くん
そうです!
私の予想とは全く逆方向の展開へと転がり始めた。
彼は私が理解してくれて嬉しいというように笑顔である。
あなた

さすがに…ちょっと…?

谷くん
やっぱそっか
あなた

うん…

谷くん
じゃあさ!この夏休みだけ俺にくれない!?
あなた

谷くん
お願い!
あなた

わかった…

谷くん
うおおおおおっしゃああああああ
あなた

ちょっと近所迷惑なるから!

谷くん
あ、大丈夫、俺のことはあなたしか見えないし
あなた

は、?…

なんでええええええええええええ

プリ小説オーディオドラマ