第6話

どうしてまたこんな空間に?
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2021/05/16 10:42
俺の体は宙を舞っていた
あの時と一緒だ、変な世界に来る前の...変な暗闇の夢と...
てつや『あれ?俺、確かゆめまると話してたはずなのに...何で?』
まだ覚醒していない脳に、今の状況はまだしっかり把握できない
生まれたてのようの姿に、今は恥ずかしさも感じない
てつや『俺...』
どうしちゃったんだろう...と暗闇の中を見渡した
何も見えないのに、気休めだろうか
そこで見たのは一筋の光
光の方に手を伸ばせば、また俺に似た姿をした男がいた
てつや『お前......』
『悪いな、また変なことに巻き込んで...あの世界に慣れるために、少しだけ教えておいてやるよ、俺は...動けそうにないから』
暗闇でも分かるほど、悲しそうに顔を歪める俺に似た男
不思議だ、鏡を見ているときとは違う
てつや『いや、でもそれはゆめまるが...』
『俺が教えたいのは、力だ...不便だろ?あの世界にいきなり来て、敵と戦えなんてさ...力を全部渡したとはいえ、扱いきれねぇよな...だからある程度は教えてやる』
ゲームで言う、遅いチュートリアルだ
戦い方は、確かに教えてほしい
あの世界のりょうは、全然教えてくれねぇし、記憶喪失設定の俺を雑に扱ってたような気もする
...待てよ、じゃあ今目の前にいるのは
『余計なことは考えるんじゃない、そんなこと、お前が知らなくてもいい...ただお前は、あの世界を救ってくれれば良い』
驚いた、心の中が覗かれたみたいだ
てつや『俺が?何で...』
申し訳なさそうに、男は言う
『お前しか、頼めない...お前しか、てつやしか救えないからだ』
てつや『ふ、うん...まぁ良いけど...こういうスリル求めてたし、俺も元の世界のアイツらと喧嘩中だし』
『...羨ましいな』
てつや『はぁ?何も羨ましくなんかねぇよ...』
『まぁいいさ、とにかく時間がない...一つ、お前は既に三つの力を持っている』
三つ、そんなに...
『一つは魔法、簡単に言えば回復魔法に攻撃魔法...頭で思い浮かべれば、俺の力のお陰で好きなように使える、但し加減はしろ』
てつや『うん』
『二つ、俺は一応剣技系を扱うんだ...だから魔法と組み合わせて、好きなような技も出せる...やる場合は気を付けろ、体力をすぐに削るからな』
てつや『分かった...』
『三つ、最後は...驚異的な身体能力上昇』
てつや『んん?身体、能力?』
クスッと笑う男
『時期に分かるさ、体が慣れれば思うように体は動いてくれる...魔法や剣技も、でもどれも体力は削られるから、使い方は誤るなよ?慣れない内は失敗ばかりでもいい、慣れてからちゃんと力を解放しろ...』
てつや『オッケー』
要するに練習あるのみ、だなぁ
『直にお前は目を覚ます、アイツらのこと、頼んだぞ...俺の命よりも大切なアイツらを』
そこまで話を聞けば、もう男の正体は何となく見当がつく
アイツらが命よりも大切、となるともう...
俺、だよなきっと...あの世界の
何でこんな会い方なのか、あの世界の俺はどうやつで、りょうたちはなぜ王と言うのか
それは、この夢みたいな状況から目を覚ましたら、ゆめまるが教えてくれるはずだ
それまで、お前のことは知らないでおいてやるよ
てつや『...大切なら、自分で守れよ』
それが出来ない理由が、俺は知りたい
俺の体が真っ逆さまに落ちていくのと同時に、あの世界の俺である目の前のやつが遠ざかっていくのと同時に
意識を失っていく......




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