第28話

過去
593
2019/03/24 11:24
壱馬side
なんで、さっき、泣いとったんのやろ。




そんな事が頭をよぎった。
そして、頭で考えるよりも先に、行動してしまった。
壱馬
な、なぁ。北人。なんで紗季泣いとったん?
北人
言っていいのかな?わかんないけど、一応言っとく。
壱馬
え、そんな深刻なことなん?
北人
んー。感じることは人それぞれだから、わかんない。
北人
あ、で。さっき、泣いてたのは·····
北人
昔の記憶が蘇ってきたんだって。
壱馬
それ、この前も言っとったな。初めてOnlyOne聞かせた時。
北人
そうだよね!
北人
何があったんだろ·····
壱馬
うーん。俺は知ってるけど
北人
けど?
壱馬
教えん方がええかな、って。ってか、言うなって、言われとったし。
北人
そっかー。
北人
俺も知りたいなぁー。
なんて、言うもんだから。俺としたことが口が滑って言っちゃった·····
壱馬
本当はダメやけど、紗季の傷が浅くなるなら·····(ボソッ)
北人
ん?
壱馬
言う!お前に、さっきの紗季のやつ。
北人
え?止められてたんじゃないの?
壱馬
そうやけど、紗季に色々あってな。
北人
うん、まぁ。教えて?
壱馬
紗季と付き合ってたときなんやけど·····
北人
うん
遡ること3年前。
(事実とは異なることがあるかもですが、暖かい目で見て頂けたらな。と思います。)
それは、武者修行のとき。



元々、ランペには紗季以外にもう1人沙羅(さら)という女子がいた。


沙羅は紗季のことが気に食わなかったらしく、俺に紗季のあるわけのない嘘を言ってきた。



幼かった俺は、紗季と付き合っていたにも関わらず、そんな変な嘘を信じてしまった。


それでも、何故か2人は別れることはなかった。



そんな嘘は、やがて異なる事実だということが分かってきて、紗季の嘘をついていてその上紗季を虐めていた沙羅はグループがデビューする前に脱退。





そして、OnlyOneを初めて聞いた時。


俺らの武者修行のときのこと歌ってるみたいだね。っていうことから、何故か泣けてきたらしい。



だから、多分今回の泣いていた理由もそうなんだろう。
北人
そんなこともあったね。
壱馬
せやろ?その事、俺にしか言ってないやろうな。
北人
そうだろうね·····
紗季の1番近くにいた存在だったからっていうのもあっただろうね。
壱馬
そうなんかな。
俺、あいつのことちょっと信じなかったのに。
北人
それでも、紗季は壱馬が1番信じられる人で、1番愛した人だったんじゃない?
壱馬
そうやったらええのやけど

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