第7話

✤ Five
77
2024/04/09 15:19

カッカッガンッ !




木剣がぶつかり合う音が訓練場に響く 。



訓練場には 、イリオスと騎士のフォスが打ち合いを
していた 。







イリオスは 、いつもは下ろしている長い髪を一束に
して結い上げていた 。






そのイリオスの相手をしているのは 、
フォス・ブライアント 。20歳 。




騎士の中でも最高位の人物で 、その腕前は王国一 。
4年前 、フォスが16歳の時から彼に勝てる者は
誰一人としていないのである 。




ちなみに容姿も端麗 。






一部からは 、光の騎士ナイトと呼ばれているらしい 。



フ ォ ス
フ ォ ス
……姫様 。
今日はここ迄にしておきませんか ?
イ リ オ ス
イ リ オ ス
ふぅ… 、あと一試合… 。
フ ォ ス
フ ォ ス
明日も稽古 、付き合いますよ ?
今日はここ迄にしておきましょう 。
お体にさわりますよ 。


何時もなら 、基礎と5試合程打ち合いをして稽古を
終了している 。


しかし 、今日はその2倍 。






17歳の身体は 、限界を超えているはずだ 。




イリオスは考えた素振りを見せると諦めがついたのか大きく息を吐いた 。

イ リ オ ス
イ リ オ ス
……そうね 。じゃあ今日はここ迄で 。
ありがとう 、フォス 。
フ ォ ス
フ ォ ス
こちらこそ 。
自分の為にもなりますので 。


そう言うと互いに礼をする 。





イリオスは壁にもたれて座り 、水分を補給する 。


先程 、パンで火傷した舌がまだヒリヒリしている 。






フォスはタオルで汗を拭きながら 、イリオスの隣に
腰を下ろした 。

フ ォ ス
フ ォ ス
姫様 、本当に強くなられましたね 。
尊敬します 。
イ リ オ ス
イ リ オ ス
貴方に言われると 、お世辞にしか
聞こえないわ 。
フ ォ ス
フ ォ ス
……それは失礼しました 。


フォスは 、笑みを浮かべながら頭を下げる 。




イ リ オ ス
イ リ オ ス
もっともっと強くならないと… 。
今のままじゃ 、この国を守る事なんて
絶対無理よ 。



この4年 、必死に稽古を重ねてきた 。




勿論 、最初に比べたら技術は上達しただろう 。







それでもまだ 、フォス達には到底及ばない 。










弱い自分に腹が立つ 。


私は 、俯き拳を強く握る 。



フ ォ ス
フ ォ ス
……姫様 、


私はフォスの声で顔を上げる 。

フ ォ ス
フ ォ ス
そんなに姫様が背負う事は 、
ありません 。
フ ォ ス
フ ォ ス
何かあれば 、我々も闘います 。
命を懸けて姫様 、国をお守りします 。
イ リ オ ス
イ リ オ ス
………フォス… 。
フ ォ ス
フ ォ ス
それに…………… 、









フォスは 、大きな手で私の手を優しく包み込む 。



イ リ オ ス
イ リ オ ス
! ? ! ?
フ ォ ス
フ ォ ス
少しは 、私の事を頼って下さい 。
一人で抱え込むのは辞めて下さい 。


フォスは 、真剣な眼差しで私を見つめる 。








" 光の騎士 " って言われる理由が今なんとなく
分かった気がする 。





イ リ オ ス
イ リ オ ス
…ありがとう 。
イ リ オ ス
イ リ オ ス
じゃあ 、もう一試合お願いできる ?
フォスにしか頼めない事なんだけd…
フ ォ ス
フ ォ ス
お断りします 。




二人は 、顔を見合わせて笑う 。















──── 訓練場に 、明るく暖かい光が差し込んだ 。

プリ小説オーディオドラマ