外に出て王宮を見てみると 、既に広範囲に火が
燃え移っていて 、崩れている箇所もあった 。
取り敢えず 、自分達は助かったようだ 。
そう安心したのも束の間 。
王宮から走って出てくる人影が見えた 。
その人物は 、私の世話役であるメイドのヴィオレータだった 。
ロド王国は 、トリフィリ王国を敵対視している国 。
パパとロド王国の王様がいつも喧嘩しているって 、
ママが言ってた 。
最悪の仲らしい 。
話の展開が早すぎて 、まだ子供だった私はついていくことが出来なかった 。
私が必死に訴えるも 、姉さんは聞いてくれない 。
姉さんは屈んで 、私と目線を合わせる 。
姉さんは私を抱き締めて頬にキスをした後 、メイドと共に私達と別の道を走って行った 。
私とヴィオレータも 、兵に見つからないように
気をつけながら夜明けまでひたすら逃げた 。
その後 、私と姉さんが会う事は二度と無かった 。
ママとパパとも会う事は無かった 。
3人とも 、
ロド王国の兵に見つかったのだ 。
その後の事は 、考えたくもない 。
この 『 絶対 』の約束を果たす事は出来なかった 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。