第3話

✤ Two
158
2022/02/03 11:31

外に出て王宮を見てみると 、既に広範囲に火が
燃え移っていて 、崩れている箇所もあった 。





取り敢えず 、自分達は助かったようだ 。







そう安心したのも束の間 。







王宮から走って出てくる人影が見えた 。





その人物は 、私の世話役であるメイドのヴィオレータだった 。

ヴ ィ オ レ ー タ
ヴ ィ オ レ ー タ
皆様 !早くお逃げ下さい ! !
メ イ ド
ヴィオレータ 、どういうこと ?
ヴ ィ オ レ ー タ
ヴ ィ オ レ ー タ
この火事は只の偶然じゃないんです !
ロド王国の仕業なんです ! !


ロド王国は 、トリフィリ王国を敵対視している国 。



パパとロド王国の王様がいつも喧嘩しているって 、
ママが言ってた 。








最悪の仲らしい 。



ヴ ィ オ レ ー タ
ヴ ィ オ レ ー タ
もうすぐ 、此方こちらに兵がやってきます !
その前に早く ! !
メ イ ド
二手に分かれた方が良いと思うわ 。
そうしたら 、追っ手の数を少なくする事が出来る 。


話の展開が早すぎて 、まだ子供だった私はついていくことが出来なかった 。

セ レ ネ
セ レ ネ
確かにそうね 。
じゃあ 、ヴィオレータにイリオスを
お願いするわ 。
ヴ ィ オ レ ー タ
ヴ ィ オ レ ー タ
かしこまりました 、セレネ様 。
必ずイリオス様は私がお守りします 。
イ リ オ ス
イ リ オ ス
え 、嫌だ !姉さんと離れたくない ! !
セ レ ネ
セ レ ネ
イリオス 、ずっと離れ離れになる訳
ではないわ 。あとでまた会えるから 。
イ リ オ ス
イ リ オ ス
でもッ……… ! !


私が必死に訴えるも 、姉さんは聞いてくれない 。



姉さんは屈んで 、私と目線を合わせる 。

セ レ ネ
セ レ ネ
大丈夫 。私を信じて ?
メ イ ド
早くしないと兵が来てしまいます… !
イリオス様… ! !







イ リ オ ス
イ リ オ ス
………分かった 。絶対だよ !
セ レ ネ
セ レ ネ
えぇ 、絶対 。あとで会いましょ 。


姉さんは私を抱き締めて頬にキスをした後 、メイドと共に私達と別の道を走って行った 。

ヴ ィ オ レ ー タ
ヴ ィ オ レ ー タ
姫様 、私達も行きましょう !


私とヴィオレータも 、兵に見つからないように
気をつけながら夜明けまでひたすら逃げた 。
























その後 、私と姉さんが会う事は二度と無かった 。




ママとパパとも会う事は無かった 。





















3人とも 、





















ロド王国の兵に見つかったのだ 。













その後の事は 、考えたくもない 。













セ レ ネ
セ レ ネ
えぇ 、絶対 ・   ・ 。あとで会いましょ 。










この 『 絶対 』の約束を果たす事は出来なかった 。

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