第135話

ちゃんと、好き?②💙渡辺翔太
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2023/03/26 02:11
『え?おい、その子だれ?』




二階堂先輩のデカい声が、耳に響く。




見なくても分かる。




絶対、嬉々としているだろう。




先輩に見えないように短く息を吐き出して、精一杯の苦笑いで振り返る。




「あーっと、この子は……」
『あなたっていいます。』




ニッコリと笑ってみせたあなたは、小首を傾げてこう続ける。




『二階堂先輩、ですよね?翔太くんから、いつもお話は伺ってるんです。お世話になってるみたいで。』




出た…。




とんだ猫かぶり。




っていう以前に、お世話になってるってどういう事だ?




「あなた…いいからもう帰れ。今、タクシー呼ぶ。」




冗談じゃない…




何やってんだよ。




これ以上、面倒事増やすなよ。




そうあなたに目で訴え座敷から出て、トイレ用の店のサンダルに足を引っ掛け、あなたの細い腕をグイッと掴む。




そんな俺を先輩の声が止めた。




『ちょいちょい…待てよ。その子、お前の何なの?彼女?』




あなたを帰す前に、一番されたくなかった質問をされて、一瞬ギクリと固まった俺をすかさずあなたの2つの瞳が鋭く見上げた。




正直、面倒極まりないが俺もそこまで心無いわけじゃない。




心で大きく息を吐いて、本当の事を言おうとした。




そんな俺を遮るのは、またしてもあなただった。




俺に掴まれた腕をやんわりと引き剥がして…




「あの、違います。私…翔太くんのいとこです。家が近所なので、翔太くんのお家によく遊びに行ったりするんです。それで、今日はたまたまここで飲むって事を聞いてたから…。」




よくもまあ…




いけしゃあしゃあと…。




この短時間でそんな嘘が並べられるもんだ。




『雨…降ってきたから、傘…持ってきたんですけど…ごめんなさい。おじゃましちゃったみたいですね。翔太くんも、ごめんね。』




あなたの眉尻を下げた苦笑いは、こんな俺の心でさえも何故か罪悪感で満たしてしまう。




例えそれが真っ赤なウソであったとしても…。




『そっかあ…いとこかあ。へえー…あなたちゃんだっけ?』
『あ、はい。』
『可愛いね。まさか、渡辺にこんな可愛いいとこが居たなんて。あなたちゃん、一緒に飲もー。』




おいおい。




「ちょ、二階堂先輩…!」
『何だよ。いいだろ。ちょっとだけ、な?あ、あなたちゃん、何歳?』
『最近、ハタチになりました!』
『へー。そっか。お酒好き?』
『はい!』




おい、バカ!




何が"はい"だ。




全然飲めないくせに。




「あなたっ…!」




思わず腕を掴み直した俺をあなたが笑顔で振り返る。




でも、振り返ったその笑顔は一瞬、無になった。




睨むわけでも、笑うわけでもない、大きな黒目が口を開けて固まる俺を映し出した。




あなたは、そんな俺を横目に二階堂先輩にニッコリ笑いかけて…




『じゃあ…ちょっとだけ失礼します。』




そう言って、履いていたサンダルを脱ぎ始めた。




こんな時に胸の大きく開いたセーターを着ていたあなたは、屈んだ拍子に何やら危ない事になっていて…。




こいつ絶対、わざとだ。




そんな確信があったにも関わらず、それに目が釘付けになっている二階堂先輩を見て、俺の中のどっかの糸がまず1本プツッと切れた…。




to be continued……



ーあとがきー
まだ続きます💦
相手のペースに巻き込まれる
しょっぴー🤣
こんな しょっぴーもいいかなぁと🤣

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