しとしとと雨が降り注ぐ夜…
ベランダに並んで座り、薄暗い中…
蓮と私はお酒を嗜んでいた。
「ね、蓮は私のどこが好き?」
降り続ける雨音を聞きながら、手にした水面に映る自分の顔を見つめ問いかけた。
別に付き合い始めたばかりという訳ではないし、浮気を疑っている訳でもないけれど…
今更、こんな事聞いた所で…
とも、思いながらお酒の力も手伝ってか、ただ何となく聞いてみた。
『じゃ…逆に聞くけど俺のどこが好き?』
質問に質問で返されて、返事に少し詰まる。
するとそんな私を見て、蓮は伏せ目がちに溜息を吐いた。
『すぐに出てこないんだ…。』
「…ち、ちが…」
ぶんぶんと音がするぐらいに、私は頭を横に振る。
そんなのもちろん全部に決まっている…。
答える前からそんな事分かりきっているのに、すぐに答えられなかったのは、何だか少し気恥ずかしかったから。
蓮は、そっとグラスを下ろし、投げ出していた脚を折り身体を丸めるように膝を抱える。
殻に閉じこもるかのようなその仕草に、私はおろおろとうろたえた。
「あ、あのっ…そうじゃなくてね…」
隙間からちらりと覗く瞳にドキッとする。
促すような視線に頬が火照った。
「全部好きなんだけど…」
『だけど?』
「目が、ね…特に好き…だなーって…。」
だんだん小さくなる私の言葉とは逆に、蓮は少し驚いたような表情を浮かべて顔を上げる。
うわ……
これなんか凄く恥ずかしいような……。
『…そんなの初めて聞いた。』
「は、初めて言ったもん…。」
今が夜で良かった。
この少ない灯りの中では、きっと私の顔が赤くなっている事には気付かれないだろうし。
そう思っていたのに…
『顔、赤くなってるよ?』
と、蓮に指摘されて穴があったら入りたい気分になった。
それをかき消すかのように、私はお酒を煽り、本題に戻す。
「で……蓮は、どうなの?」
『俺は…そうだなぁ……』
蓮はそう言って、少し考えるような素振りの後、勢いよく肩を掴まれ引き寄せられた。
突然の出来事にバランスを崩し驚いていると、至近距離から覗き込むように見つめられて再び頬が火照るのを感じた。
そしてだんだんと距離を詰めてくる蓮に瞳を閉じたけれど…
来ると思っていた感覚がなかなか来なくて、おそるおそる瞼をあげると…
先程よりも更に近くから見つめられていた。
『…そういう表情とか好きだよ。』
そんな事を飄々と言われて、くらくらした。
『あなた…目、開けてて。』
「え…?」
蓮はそう言うと、私の唇を塞いだ。
瞳を開いて見つめあったままのキスに、私は身体が熱くなるのを感じた。
何度も離れては再び触れる柔らかな唇に瞳を閉じてしまいそうになる。
でも、それと同時に大好きな蓮の瞳をずっと見ていたくて、ボーッと眺めていたら、いつしか唇の隙間から舌が入り込んできた。
「ふっ、…ん…」
蓮は舌を絡ませ口内を蹂躙する。
指先で頬をゆるゆると撫で上げられて、そんな小さな刺激にも息が上がってしまいそうになる。
そうしている間も目線は合わせたまま…。
大好きな蓮にずっと見つめられて、だんだん何も考えられなくなってくる。
身体に力が入らず自分で支えていられなくなった頃、やっと唇が解放された。
お腹の奥の方がじんじんと疼いて仕方がない。
『そういうところも好きだよ。』
肩で息をしている私とは逆に、少し息が上がっているかなという程度の蓮は、私の頬に軽くキスをした。
『どういうところ…?』
と呟くと蓮の唇は私の耳元へ寄せられた。
『…キスだけでこんなになってる、感じやすいところ。』
ボソボソと耳元で囁かれて、声をあげそうになってしまう。
「蓮……。」
焦れったくて、私は足を擦り合わせてしまう。
『可愛い……。』
さらりと髪を撫で耳にかけられ…
耳に唇を落としてきたからビクリと肩が跳ね上がった。
「蓮…っ……。」
『ん…?どうして欲しいの?』
つて、意地悪く囁かれたけれど…。
我慢出来なくて…
「…シ、よ……?」
『そういう素直なところも好きだよ…。』
ーendー
ーあとがきー
終わり方が微妙…ですが😢
ドキドキして頂きたくて😆
今回もリクエストあれば続き書こうかな?
と思います(*゚▽゚)ノ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。