焦凍side
2種目目の最後。
緑谷の騎馬から1000万325ポイントの鉢巻を奪い、1位で終わった。
まだまだこっからだ。
俺はあんだけ覚悟を決めていたはずなのに、緑谷相手に、、人相手に、”左”を、、、!
この後の一対一のトーナメント戦。
絶対に、”左”なしで、、お母さんの力だけで、俺は1位になってみせる。
紫花side
あ、、、ど、どうしよう、私、迷った、、、!
やっぱり雄英の入り口にはヒーローっぽい人がいて、バレないようにコソコソ入ってきた。
きっと私の顔、バレてるから。
一応サングラスもかけてきてるし、白髪に目立つ水色のメッシュも編み込んでメッシュ感を抜いてる。
だから、、た、多分、バレない。多分。
1種目目の途中からきて、無事焦凍くんがゴールするところは見れたし、2種目目で1位を取ってるところも見れた。
今はお昼休憩。
持ってきたご飯を観戦席で食べる前に、このスタジアムを見学しようとしただけなのに、、、!
前に行っても後ろに行っても、階段を上がっても降っても、見渡す限り同じ風景。
どうしよう、次の3種目目がメインなのに、、これじゃ、焦凍くんの戦ってるとこ、見れない、、、!
どうしよう、、、!
エンデヴァー:そこで何をしている。
紫花:、、、え?
もしかして、
紫花:エンデ、、ヴァー?
エンデヴァー:俺はここで何をしているのか聞いた。
紫花:あっ、えっ、えっと、
どうしよう、ずっと私と時雨にとって、、いや、私にとってのヒーローで、憧れだった人が目の前にいるなんて。
今日は焦凍くんの姿が見れただけでも嬉しすぎるのに、まさか、エンデヴァーにも会えるなんて。
紫花:ま、、迷っちゃって。初めて来た場所で、本当は観戦席に戻りたい、、んです。
エンデヴァー:そうか。それならあちらの階段を上がって左に進めば観戦席が見えるだろう。
紫花:あ、、ありがとうございます、、!
私のヒーロー、、カッコいいなぁ。
やっぱり、私は、、、
って、何思ってるんだ私。
私は、″ヴィラン″、、″ヴィラン″なんだよ。
紫花:、、、あの、
エンデヴァー:なんだ。まだ何かあるのか。
紫花:ヴィランの中には、、更生して、普通の暮らしをしている人も、、いるんですか?
エンデヴァー:、、、質問の意図がよく分からんが、そりゃあいるだろう。多いとは言わんがな。簡単なことではない。一昔前の犯罪者と一緒だ。周りの目や経済力に追われ思うようにいかない。そしてまたヴィランに戻る。これはよくある話だ。
紫花:、、、そうですか。ありがとうございます。、、、これからも、頑張って下さい。実は、、昔、エンデヴァーに助けてもらったことがあるんです。そのときからずっと私の憧れで、、ずっと応援してます。
精一杯、笑えたかな。
でも、これは、、
紛れもない事実。
エンデヴァーは半ば吐き捨てるように言った言葉に戸惑っているようだが、私は気にせず歩いて行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。