第7話

彼の頼み事
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2018/11/24 16:26
私は今すごく後悔しています。

もし、私に時間を操る能力があるのなら
5分前に時間を戻したい…


私の目の前でニヤニヤしながら立つ男子高校生


「おーい。聞こえてますか〜。」


私の顔を覗き込み手をヒラヒラさせている。

今更、見えてませんでしたなんて言えるはずもなく私は「はい…」と呟いた。


そう。彼は幽霊。

私は幽霊相手に自分から声をかけてしまったのだ。

厄介事に巻き込まれたくないのに、、、、



「見えてるお前にしかできない頼みがある…」

「私に?」


嫌な予感…お化けがいう頼み事なんて。。


「俺の親友を救ってやって欲しい」


彼の名前は相田 勇人。高校2年生
春崎高校に通っていたらしい。


相田くんの親友の名前は 楠 真守
彼も高校2年生で春崎高校の生徒だ。



「で、でも私にできることなんて何も…」


話によると 相田くんが亡くなった理由は
一緒に下校中の楠くんが 不注意で車に轢かれそうになったのを庇ったためらしい


もちろん私と楠くんは赤の他人。

私がどうこう言って解決できることではない気が…


「もうお前にしか頼めないんだ。協力してくれ」


あまりにも真剣な眼差しに私は負け、できるだけ協力することになった。


「そうだ。お前名前は?」


「皆川です…」


「そうじゃなくて下の名前」


何故、初対面の相手にこんなにフランクに話しかけられるのか…

相田くんのメンタルはどうやら鉄のようだ。


「胡桃です。」

「くるみ?可愛い名前だな」


彼はそんなことを呟いて 再び鼻歌を歌いながら歩き出した。


「ど、どこに行くんですか?」

「どこって、胡桃の家」


いきなり、呼び捨てだし…


「ど、どうして?」

「どうしてって…俺、泊まる家ねーもん!」


そんな、笑顔でいうことじゃないんですけども…


「え、自分の家は…?」


そう聞いた瞬間、私は周りの通行人からジロジロ見られていることに気がついた。


陽も沈みかけていて、私は仕方なく
彼を家に上げることにした。

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