ガヤガヤガヤガヤ…
教室内はいつもと変わらない。
「この新作昨日食べたんだ〜」
「今日の帰りカラオケ行かね?」
「昨日告白されちゃった、、、」
あちらこちらから聞こえる 高校生らしい会話
だけどそのどこの会話にも参加せず、一人大人しく自分の机で 何度も読んだ小説をペラペラとめくる。
きっと私は 周りから見たら 読書好きの生徒
だけど私は読書なんて大して好きではない。
こうでもしていないと 話しかけられてしまう。
そう、、、、、、
この幽霊に_____________
教室の四つ角の一角で 目がクリックリッの
幼いピンクのワンピースを着た女の子が
興味津々で教室内を見渡している。
高校の校舎内に 見た感じ5歳くらいの女の子が
いること自体まず、おかしい。
それに、周りの生徒もこの子に気づいてないのもおかしい。
つまりこの女の子は この世に存在していない
幽霊となる。。。。
幽霊って何か怖いイメージがあるからお化けと
私は呼んでいるけど、、、
女の子と目が合いそうになり私は慌てて 小説に目を向ける。
だけど少し遅かったのか 女の子は純粋たる笑顔を見せて私の方に駆け寄ってくる。
お化けっていっても、血だらけみたいな外見をしていない。
生きている人と何ら変わりないから区別がしづらい。
「おねーちゃん!私のこと見えるの?」
クリックリッでキラッキラの眼差しを私に向ける女の子。
ここで会話をすると 無論私は変な人と周りから思われる。
そんな体験もうゴメンだ。
「見てみて〜!この人形さんはね、菜々子が初めてサンタさんからもらったお人形さんなの!」
私がどれだけ無視しても 菜々子ちゃんは楽しそうに私に話をかけてくれる。
私の叔母は霊媒師をしていて、よく小さい頃から聞かされていた。
[亡くなった人の魂はこの世にしばらく残る]
きっとこの子も あと数日で、、、、、
そう思うと胸がギュッと締まる。
英語の授業中、私は手を挙げ
「少し体調が悪いので早退します」
こう言ったのだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。