「胡桃ちゃん。また菜々子に会いに来てやってください。」
お母さんは目を微かに赤くさせそう言った。
「今日はありがとう。菜々子の思いがちゃんと伝わったよ」
お父さんはそう笑った。
菜々子ちゃんもママとパパが笑っているみたいで嬉しそう。
だけど、どこか切なそうにも見えた。
私たちは再び丘に戻ってきた。
やはり、ここは静かで辺りにも人は居ない。
「良かったね。菜々子ちゃんの思い届いて」
「うん!もう、菜々子思い残すことないや!」
私はその言葉を聞き、菜々子ちゃんに目を向けた。
すると菜々子ちゃんの体は暖かい光で包まれていた。
「おねーちゃん。お別れだね」
「菜々子ちゃん…」
「胡桃ちゃん!!!」
私が菜々子ちゃんの名前を呟いた後に 後ろで声がした。
その声は菜々子ちゃんのお母さんの声だった。
振り返ると菜々子ちゃんの両親が居て、何故か
目線の先は光に包まれた菜々子ちゃんだった
「ママ…パパ?」
「「菜々子!!!」」
何故か菜々子ちゃんの両親には菜々子ちゃんが見えていたのだ。
「菜々子!ママは菜々子のこと絶対わすれない!こんな、可愛い娘忘れるわけないじゃない!」
「菜々子。パパ、仕事であまり構ったりできなくて本当にすまん。パパも菜々子のこと忘れないからな。菜々子は俺たちの自慢の娘だ!」
「ママ…パパ…わぁぁぁん!」
強い心をもち、どこか大人っぽい雰囲気だった菜々子ちゃんも、ちゃんとした子供だった。
3人は抱き合って 家族という最後の時間を
過ごしていた。
「菜々子もママとパパは自慢のママとパパだよ!絶対絶対わすれない。ずっと、、この先もずーっとだいすきだよ!」
「おねーちゃん!ありがとう。菜々子のワガママを聞いてくれて。おねーちゃんのこともずっと忘れない!あんまり本ばっか読まないでお友達とちゃんと話すんだよ!」
涙を流しながらも満面の笑みで菜々子ちゃんは
そう言い 消えていった。
残された菜々子ちゃんの両親はもちろん、私も
大泣きだった。、
菜々子ちゃん。
生まれ変わっても またきっと幸せな家族に恵まれて今度はもっともっと長く生きられるといいな
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。