第10話

魔法使い
41
2018/11/26 09:37
「こ、ここって…」

相田くんを追いかけてるうちに着いたのが
オシャレな美容室の前。


ここ予約しなきゃ入れなさそうだよ…それに…


「だ、誰が髪の毛を切るの?」

「そんなの胡桃に決まってるだろ」


私がそう言うと、当たり前だろと言うかのように相田くんはそう返す。


「それに、ここ予約…」

「相田 勇人の紹介ですって言って」


半ば無理やり美容室に入らされる。


「いらっしゃいませ。当店は予約制なのですがご予約はされていますか?」


いい香りを漂わせる綺麗なお姉さんが
私にそう聞く。


「あ、相田勇人の紹介で来たんですが…」


私が相田くんの名前を出すと そのお姉さんは
ニッコリ笑ってすぐに案内してくれた。


私の髪の毛は 背中の中間辺りまであって
黒髪のストレートで前髪は割と長め


椅子に座らされてテキパキと準備を始める美容師さん


相田くんの名前を言っただけで、予約制なのにこの待遇

一体彼は何者なのだろうか?


「どのような髪型になさいますか?」


そう聞かれ、返答に迷っていると


「ボブで髪色は茶色系の色でオススメって頼んで」


隣に居る相田くんの言った言葉をそのまま
店員さんに伝える。


「かしこまりました」


すると、どんどん切られていく私の髪の毛。

美容室苦手なんだけどな

「はい。終わりましたよ」


そう言われ鏡を見ると、そこには全くの別人が
目の前にいた。


「え、これ私?」


信じられないくらい変わった。


「お客様の輪郭的に この位のボブが似合うと思いました。それに、この髪色と合っていてすごくお似合です。」


そう言われすこし照れてしまう。


私は財布を取り出し、お会計に進もうと思ったけど店員さんが

「相田様の紹介で来たのならお代は結構です。また、ご利用ください。」


そう言って深々と頭を下げてきた。


「すごく似合ってるよ胡桃。」

相田くんにもそんなこと言われ、柄でもなく照れてしまう。


「相田くんは一体何者なんですか?」

「それは俺にも分からない。あの美容室の前に言ったら 俺の名前を言えば最高の出来にしてくれるということを思い出した」


相田くんの記憶はこういうことで、少しずつ戻っていくのかな?

まだまだ、彼は謎

だけど、「ありがとう」私は素直にお礼を言った。

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