『』- 夢主表記
「」- その他キャラ表記
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『 あーあ、お前らのせいで転校初日から遅刻なんだけど 』
「 わ、悪かったって·····許してくれよ?な?ほんとに頼むよ·····命だけは··········!! 」
地面に横たわる男たちを見て、少女の口元は弧を描くように笑った。
『 仕方ないな〜。
·····なーんて、言うと思った? 』
思い切り腹を蹴って気絶した男を冷たい目で見下ろした少女は、早足で目的地へと向かった。
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あなた side
『 ·····よし、着いた 』
気合い入れのために頬を両手でぺちぺち叩いて、私は校内へと入った。
私は今日からここの生徒。
地味な生徒を演じきらないといけない。
·····まぁ赤いメッシュなんて入れてる時点で地味ではないけども。
いーや、でもそんなの気にしないもんね!!
『 えーっと、2年3組は·····
あ、ここか 』
時刻は9:24。
とっくに1時限目は始まってしまっている。
「 転校生が来るはずなのにおかしいな····· 」
「 むっくん、流石にもう来ないんじゃね 」
先生も心配しちゃってるし、そろそろ入るか。
『 すいません、遅れました 』
教室に入るなりビックリしたこと、
·····女の子が少ない!!!!
こんなむさ苦しいところに入れられんの私!?
しかも見るところツッパリだらけだし·····
『 赤石あなたです。
よろしくお願いします····· 』
はぁ、上手くやっていける気がしないよ·····
しかもなんか変な頭のやつが二人もいるし·····
なに金髪って、なにそのウニ頭·····
·····いや、まぁ私も変か。
「 え、ねぇ君前、前見えるの?
前はその前髪で見えるの?? 」
顔半分を覆う前髪に先生はビックリしてるようで。
いやぁ慣れって怖いですよ。
だって昔女の子に言われたんだもん、「ブスなんだから顔隠しな」って。
だから隠してるだけ。
『 見えますよ。で、席どこですか 』
「 あ、あぁ·····、席は半分より後ろなら自由席だ。 」
『 自由席なんですか? 』
「 あぁ、ツッパリは自由席だ 」
『 へー。どこにしようかな 』
とりあえず端っことられてるし真ん中かな。
その席に歩き出すと変な髪型の二人が私のことをジーッと見つめてきて、少し殴りたくなる気持ちを抑える。
見せもんじゃねぇよ、私は。
でも私はここで平和な日常を過ごす!!
だから問題は絶対に起こさない!!!!!!
そう心に誓ったからこの学校の生徒さん達の前で喧嘩なんて出来やしない。
ていうかここの人達と喧嘩なんてしない!
うん!やる時は今朝みたいに路地裏でやる!!
そう、心に誓ってる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。