三橋 side
たった今、妙な女が転校してきた。
長い前髪に赤いメッシュ、サラサラの黒髪に目を惹かれる。
·····顔が気になって仕方ねぇ。
ブスだから隠してんのか·····?
それとも美少女すぎるから·····?
『 ·····あ、教科書··············· 』
えっ??鈴??なに声綺麗すぎない??
そんな声の持ち主いんの??
『 ····ぁ、あの、教科書見せてもらってもいいですか? 』
「 へっ?? あっ、あぁ·····ほらよ。 」
長い前髪の下から見える微かに紅くなった頬。
『 ありがとうございます··· 』
柔らかく笑った目の前の女に、何故か顔が赤くなっちまう。
あークソ、ブスかもしんねぇのに·····
「 ·····ぅ、あークソ!これお前が使え! 」
『 えっ、ちょ、まっ·····! 』
あーあーだりぃ。
早弁する気にもなんねぇし
授業受ける気にもなんねぇし·····
「 むっくん、屋上行ってきまーす 」
屋上で寝るとしますか。
____________
時は過ぎ、放課後。
今日は昼までの授業で集団で帰る軟葉生徒の中で、目立つ髪型が3人。
金髪パーマ
ウニ頭
赤色メッシュのサラサラ黒髪
そんな3人とまるで関わりたくない一般生徒は3人から逃げるように帰っていった。
『 ·····わたし、逃げられた? 』
きょとんとする赤色メッシュ、否、あなたを挟むようにして立ったのは金髪とウニ頭だった。
「 俺、伊藤真司。よろしくね 」
「 三橋。俺がよろしくしてやるよ転校生 」
意地悪そうに笑った金髪を見て、あなたは怪訝そうな顔をして凛とした声で言い放った。
『 いや、結構です。さようなら 』
「 んだと!? 」
「 おい三橋。お前がンなこと言うからだぞ 」
あなたはスタスタと2人を置いて歩き出した。
「 ·····おい伊藤。俺は怒ったぜ 」
「 は? 」
「 アイツのブッサイクな顔、絶対見て笑ってやらァ·····!! 」
コソコソと2人はあなたの後を追っていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!