17時。
就業時間が終わり、やっと帰れると思ったら土砂降りの雨が降っていた。
あなた
「 あれ…。 天気予報は晴れだったのになぁ…。」
止みそうにない空を眺めながら、今日の一日を振り返っていた。
仕事がなかなか覚えられない私は、小さなミスを沢山するような社会人で、今日も上司に怒られてしまった。
朝も電車に遅れそうになるし、
社員食堂の大好きな唐揚げ定食の大盛りも、私が行った時にはすでに無くなっていた。
でももう、こんな日常もすっかり慣れたもので、前向きに頑張ろうと思えるのも、大好きなアーティストがいるからで。
あなた
「 よし、走って駅まで帰ろ 」
カバンを傘代わりに次の屋根がある建物まで一気に走った。
あなた
「 結構濡れちゃった…。ハンカチあったはず…。」
鞄の中をガサゴソあさっていると、私の隣にも傘を持っていない人が走ってきた。
??
「 やっぱり送ってもらえばよかった… 」
人が2人分くらい空いた距離だったが、小さな声でそう聞こえた。
反射的にそちら側を向いたら、私が大好きで大好きで、ずっと応援していた人の目にそっくりな人が立っていた。
あなた
「 うそ… 慎くん…?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!