カーテンがゆっくりと開けていくのがー
カーテンレールを開けた人物は僕も知っているあの子だった
そう、辭柧(ジク)の弟辭麼(ジミ)である
最原くんを軽々と持ち上げた辭麼(ジミ)はそのままボクの病室を後にした
カーテンレールは自分で閉めた
たった1人の時間が欲しかったためだ
いつか退院するボクは授業にとても遅れている
もしかしたら僕の机には…
そう言って首を横に振って前を見る
自分が居なくなってもいいんじゃないかと思い始めてもしょうがない
自分の心はもう…みんなと比べようがないほど、ボロボロになっていた
でも
そうするしか、他に方法がないのだから
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。