第28話

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2022/01/03 16:41
アサヒは今、深い水中の中にいた。
この展開には正直もう慣れた。
アサヒ
アサヒ
げほっ!
口から水を吐き出した。何故か吐き出せた。
前回来た時とは違い、溺れているところから始まった。しかし前々回とは違い、体の制御を自分でできるようになった。
…いや、前回でも体の制御はきいていた。
やあやあお目覚めかな?いや、ここは夢の中だったかな?
調子の良い声が、上から聞こえる。
アサヒ
アサヒ
…またここか
アサヒはため息をついた。口から泡がこぼれる。
ため息とは酷いじゃないか
アサヒ
アサヒ
だってお前どーせ話聞かないだろ
だって君はまだ僕の好みの人じゃないからね
アサヒ
アサヒ
じゃあ何で夢に出てくんだよ
相変わらず姿は影しか見えない。
しかし前よりかは話が通じる…。
君、欲はある?
…通じるような気がする。
アサヒ
アサヒ
バトルの疲れとめんどくさい奴との絡み。もうやる気は無いので答えないことにした。
アサヒ
アサヒ
…しょうがないなぁ。君の気がすむまで僕のキス音でも聞く?
アサヒ
アサヒ
おい気まずくなる。やめて、答えるから
影の悪巧みを止めるアサヒ。
こんな二人の空間で、気まずくなるのはごめんだ。
アサヒ
アサヒ
欲かぁ。欲ならあるよ
無いね
アサヒ
アサヒ
何お前ホントに
アサヒは否定された。
アサヒ
アサヒ
わぁたよ!お金欲しい、腹減った、休みたい、ゲームしたい、彼女欲しい!どうだい!
それを今、心の底から思ってる?
アサヒ
アサヒ
俺知ってるわお前のこと。新学期友達できないけど終盤にめっさ友達できるタイプや!
アサヒは全否定された。
流石にイライラしてきている。
君は僕の求めている欲を持ってない
影はそう答えた。
自分にあって、影が求めている欲。
アサヒ
アサヒ
それをヒント無しで?無理ゲーだろ
アサヒは呆れる。そろそろ首が痛くなってきた。
でもその欲を持てば、僕と結ばれるんだよ?
アサヒ
アサヒ
んなロマンチックな
そしたら僕と君で情報を共有できるんだよ?
アサヒ
アサヒ
でも話聞かないだろ?
その欲を持ってくれるなら、きちんと聞くよ
アサヒ
アサヒ
なるほど?悪くないね
意見に賛成するアサヒ。
影だけだからよくわからないが、相手も喜んでいるように見える。
あ!それともう一つお願いがあるの
アサヒ
アサヒ
あの黒い生物。できれば皆倒してほしいの
アサヒ
アサヒ
黒い生物。きっとあの蜘蛛人間のことだろう。
そして今の発言。あの醜くなってしまった悲しき生物、まだ他にもいるということなのか。
アサヒ
アサヒ
…なぁ、アイツらはどうやってあんな姿になったんだ?
アサヒは影に質問をした。
嫌な記憶が蘇る。
アサヒ
アサヒ
神の目が、関係してんのか?
…君は、
アサヒ
アサヒ
君はもっと人の話を聞いた方がいいんじゃないかな?
アサヒ
アサヒ
あがっ!
突然、水が口に入り出す。
あんだけ人の話を聞けと言っておいて、ブーメランだったみたいだねw
意識が遠くなる。
その時になったらちゃんと話すよ
アサヒ
アサヒ
「世界をーーーー」、そう思ってくれれば

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