家に帰って来るといきなり涙がこぼれ落ちた。
その涙は止まることを知らない。
後悔している自分がいる。
静かな部屋に私の声が響く。
もう会うことのないオッパ
あの優しい笑顔を思い出すとさらに辛くなる
…
パチッ
気がつくと窓の外はオレンジ色に染まっている
泣き疲れて寝てしまったみたいだ。
オッパに貸していた部屋を片付けようと思っていたけど、どうしても入る気分になれなくて、
今日はもう寝ることにした。
そして、やるつもりだった片付けは次の日もその次の日も
1週間たっても2週間たってもやらなかった。
ある日、仲のいい友達とカフェでお茶している時だった。
その友達には何度かオッパのことを相談していた。
オッパに本当の気持ちを言えなかったことも話していたとき
もう片付けは終えたの??
って聞かれた。
そうと決まれば早速家に帰ろう。
「帰宅」
家に帰って来て直ぐにオッパに貸していた部屋に入る。
どこから片付けようかと部屋を見渡していたその時だった。
テーブルの上に小さな光るもの。
私の鍵ではない。
でも見た事がある。
"オッパの自転車"の鍵だ!
next➪➪
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。