今日は玄樹とデートだ。
今まで5人とデートしたけど
もうあっという間に
最後の1人になってしまった。
今日はガウチョパンツにして
でも動けるような服装にした。
玄樹は野球が大好きだ。
かっこいいスイングが見れると
私はウキウキしていた。
バッティングセンターに着いて
玄樹は腕をまくった。
私は見ていることにした。
なぜなら野球音痴だから。
ホントに下手くそで
体力テストのボール投げも1番悪い成績だから
玄樹は1番早い球が出るブースへ行った。
一打目
びゅんとなったバットの先には
ボールがあって
ヒットした。
だけど玄樹は悔しがっている
何打も打って
打ちまくって
67回目…
いつもとは違う音がした。
カチーン!!と高い音が鳴る
ボールを見続けると…
玄樹はとても喜んだ。
小学生のようにはしゃぎ喜んだ。
その笑顔は綺麗な花が咲いたような笑顔で。
そう言ってハイタッチを交わした。
すると玄樹が
やっぱりそう言うしかなくて。
手袋を玄樹に着けてもらった。
ほんのりあったかくて。
そしてバットを玄樹に借りて
ブースに入った。
もちろん1番遅い球が出るブース
素振りしてみた。
だけど
玄樹先生は私の後ろから
支えてくれて、
振り方から教えてくれた。
優しく丁寧に
玄樹先生の野球教室で
私はみるみる上達した。
1打目。
ヒットした。
初めてのヒットで
とても嬉しかった。
何回かやって
27打目。
カチーンと音が鳴った。
ボールに視線を向けると
ホームランが打てた。
それはそれは感動した。
すると玄樹が
バックハグされて
耳元で囁かれた。
ギューッと抱きしめられて
玄樹のいい匂いがした。
しかし、そんな時間も刻々と過ぎて
あっという間に夕方だった。
帰り道、アイスを買って
キンプリHOUSEに戻る
キンプリHOUSEに戻ると
玄樹はソファーに倒れ込んで
そのまま寝てしまった。
私はブランケットを玄樹に掛けて
楽しかった1日だったよ。
野球って楽しいね。
ありがとね。玄樹。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。