多国語研究会 の 頭脳派の彼には
きっと 男嫌いってことくらい
お見通しだっただろう 。
でも、 嫌い とは言えなかった 。
そこからというもの
彼に私は惹かれていった 。
それから半年後、
大学の 卒業式、
卒業生や、親や、友達やらで
揉みくちゃになる 大学の入り口を突破し
彼のことを 必死に探した 。
大学のどこを回っても彼はいなくて
とうとう 諦めかけた時 、
突然 彼は 目の前に 現れた 。
「あ、おった!」
『え、 ? わぁっ !!』
私のことを 見つけると
待ってました と言わんばかりに
腕を強く引き寄せた。
「探してたんやで 、 もう会われへんことなったら 嫌やから 。」
『私も …… 探してました ……』
「ならお互い様やな、はい」
白い肌に 握られた 薄水色の 紙切れ 。
半開きになった 私の掌に
ぐっ と 紙を押し込んで 、
「じゃあ 」
と言って 彼は 消えていった 。
家に帰って 紙切れを開くと
特殊な字で書かれた 連絡先
コミュ障 の 私は
連絡先なんて 渡されたって 、
もちろん 電話もメールもする勇気はない 。
『連絡先……つったって ……』
別に 恋愛感情なんて 抱いてなかった 。
ただ 彼の
男らしいところ に 魅力されていた 。
連絡先は 電話帳に 追加しただけで
連絡 することは 一切出来なかった 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。