とうとう今日が来てしまった・・・
一睡もできなかったな・・・
まぁとりあえず彩野さんの家に行くか、
ガチャ・・・
「うぉわ!」
「あら、何をそんなに驚いてるの?」
「い、いやいや、外にでた瞬間目の前にベ○ツが止まってたらそりゃ驚くだろ」
「そうかしら?」
お金持ちの感覚はめちゃくちゃズレてて怖いよな、
最近はもう慣れすぎて俺たちが会話する口調はとても軽いものになっていた。
「そんなことはさておき、そろそろ・・・」
「行きますか!彩野さんの家に!!」
「なんでそんな元気なのよ、」
「・・・なんか、気合い入れ・・・的な?」
「ま、いいわ。」
俺達が乗ると動き出した
「それで、どうするの?」
「どうするって?」
「はぁー、分からないの?美咲の事よどうやってその霊を祓うの?」
「・・・祓うって言うより、成仏してもらうって感じかな」
「どうやって?」
「霊ってこの世に未練があるからこの世にとどまって人に憑いたりするんだろ?ならその未練を晴らしてやればいいじゃんって」
「・・・・・・」
「ん?どーした?」
「・・・何も無いわ、で?」
「・・・・・・」
「え!?もしかしてそこまでしか考えてないの?」
「・・・一晩中考えたけど、色々話を聞いて、俺たちにできることならしてあげて・・・みたいなことしか思いつかなくて」
「んーでも、私達にできることってそれくらいよね・・・」
「それをしてみて、ダメだったらその時考えればいっか!」
「やれやれ・・・」
「やれやれってなんだよ!」
「・・・着いたわよ」
「・・・・・・」
こいつ、誤魔化しやがった・・・!!
ピンポーン
『はーい』
「美華です。」
『はーい!鍵あいてるわよ!』
「?・・・なんか美咲のお母さんすっごく元気じゃない?」
「それ、俺も思った。」
「「お邪魔します。」」
「いらっしゃい!美華ちゃんに三津谷くん!」
「お母さん今日すごく元気ですね?」
おいおいド直球だな、
それにいつもは元気がないみたいな言い方・・・
ガチャ・・・
「キャッキャ・・・」
「うふふふ・・・」
「「・・・・・・」」
俺達が絶句するのも当然だ。
なぜなら彩野さ、美咲ちゃんと彩野さんのお母さんが楽しそうにおままごとをしていたからだ。
話を聞くと、彩野さんが美咲ちゃんになってから毎日このように遊んでいるらしい。
『美咲が小さい頃に戻ったみたいですっごく楽しいわぁ〜』
と彩野さんのお母さんが言っていた。
だが今日美咲ちゃんは彩野さんに戻るのだ。
彩野さんのお母さんには申し訳ないが、美咲ちゃんとはお別れして貰わないもいけない。
「お母さん・・・話があるの。」
「どうしたの?美華ちゃん?」
「・・・わかったわ。まぁ今の状況の方がおかしいものね。美咲を頼みます。」
「はい。絶対に元の美咲に戻してみせます。三津谷くんと一緒に。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!