第8話
推理。
ピンポーン・・・
『はーい、どちら様ですか?』
「すいません、彩野さん・・・美咲さんと西園さんの友人の三津谷と申します。」
『あぁ、美華ちゃんから聞いてるわ、どうぞ。』
「お邪魔します。」
「美華ちゃんは、美咲の部屋にいるわよ。」
「ありがとうございます。」
トントントン・・・ガチャッ
「やっと来たの?」
「やっとって・・・彩野さん見つかった?」
「いいえ、まだよ。・・・でも大体の人が行方不明になった次の日には帰ってきている。だから美咲ももう少しすれば帰ってくると思う。」
「その間に、話したいことがある。」
「えぇ、いいわよ。」
「この神隠しの正体は、前に行ったあの廃工場で殺された男の子の仕業だと思う。」
「そうね、」
「俺、昨日色々調べて見たんだ。そしたら、ある新聞の端の方にこんな記事があったんだ。」
「・・・かくれんぼ殺人事件・・・10歳以下の子供たちを狙った狂気殺人。なにこれ・・・」
子供たちを誘拐して自力で帰れないところへ連れていき、刃物でゆっくりと傷つけ逃がし、その子供が恐怖に怯え逃げ回り隠れているところを追いかけ、殺す。
犯人はあの廃工場の事件後、逮捕され今は刑務所にいる。
「殺された子供は5人。」
「5人もこんな酷い殺され方をしたのね・・・」
「おそらく、この5人全員の怨念がこの廃工場で殺された子にこもったんじゃないかな?」
「それでどうして人に乗り移るようになったの?」
「・・・これも憶測なんだけど、この【かくれんぼ】ってとこに注目してほしい。」
「・・・かくれんぼ・・・っ!!」
「そう、この子達はかくれんぼをしているんだ。見つからないように隠れ場所を変えながら。そして彩野さんの体が次の隠れ場所になってしまったんだ。」
「・・・っ!!」
「こう考えると話が全て繋がるんだ。行方不明になった人が帰ってきた時には話し方や仕草が幼児のようになる。とかとね。」
「でも!もう犯人は捕まったのよね!なのになんで!!」
「幽霊は、そんなこと分かるはずがない。それにこの子達は、まだ10歳にも満たない子供たちだ。」
「・・・そうよね。ごめんなさい。取り乱してしまったわ。」
「大丈夫、」
「それでどうするの?この話をしているということは、なにか思いついたんじゃないの?」
「あぁ。もうかくれんぼを終わらせてやるんだ。」
「終わらせる?どうやって、」
「その子供達と会話するんだ。」
「会話?できるの?」
「多分。乗り移られた人達は、話し方や仕草が幼児のようになる、そして乗り移られていた人達は、その記憶が無い。ということは・・・」
「その人が乗り移られてい時はその子供たちがその人を支配しているという事ね。」
「そういう事。だから取り憑かれているあいだなら・・・彩野さんに取り憑いている子と会話することが出来る。」
「・・・・・・美咲には悪いけど好都合ね。」
「そう、だから彩野さんで最後にするんだ。」
「美咲が帰ってきたら実行するの?」
「あぁ。」
すると、玄関の開く音がして、彩野さんのお母さんの声が聞こえてきた。
『美咲!?美咲なのね!心配したのよ!!・・・どうしたの??・・・もしかして・・・美咲!?美咲!!』
「美咲が!帰ってきたわ!」
「・・・あぁ。」
この神隠しの被害者は彩野さんで最後にするんだ。
俺たちの手で。