カツカツカツ・・・
俺たちの足音しか聞こえないしんとした工場の中。少し歩いていくと周りにあまり物がなく広い場所にたどり着いた。
そこは、屋根に穴があいていて、外の明かりが少しだけ入ってきていて懐中電灯がなくても大丈夫そうなところだった。
「ね、ねぇここマジやばくない?」
「あら、もう弱音をはくの?」
「・・・でもここやばそうな感じがするな。」
「どうかしたの?」
「ここ見てみて、」
「ん?」
「・・・うわああ!!」
「なにこれ・・・血痕・・・?」
「あぁ、おそらく・・・」
「・・・!ここを見てみて、ここにも血痕がついてるわ、・・・しかも引きずったような跡もある・・・」
これってもう心霊だけじゃ済まなくね?
でももうここまで首を突っ込んだんだ、最後まで・・・事件?解決までとことん首を突っ込んでやる!
「・・・ここ、マジでやばいじゃん!はやく出ようよ!」
「美咲・・・あなたさっきからやばいしか言ってないわよ、」
「だって・・・!!」
「はぁ、わかったわ、三津谷さんもう暗くなってきたわ、また日を改めて来ましょう。」
「あぁ、そうだな、今日はもう引き上げよう。」
俺たちはこの日、ここで引き上げて帰った。
そして次の日、事件が起こった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!