手を伸ばそう。
輝きに満ちた、ステージへ。
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✗九条天side✗
撮影の休憩時間のふとした隙間時間、ボクは思い返していた。
妹のことを。
まだ小さくて、ボクが九条さんに引き取られる前に、引き取られて行った。
何より、悲しかった。
何より、悔しかった。
誰より、可愛かったから。
行って欲しくなくて、でも何も出来ない自分たちが悔しくて。
その後九条さんが家に来てボクを連れていく時だってその事を思い返した。
ああ、今どこにいるの?
何をしてるの?
会いたい、会いたいよ···あなた。
「そろそろ再開しまーす!」
天「···はい!」
昔、3人で撮った、一枚の写真。
ボクと、双子の弟の陸と、その真ん中に妹のあなたがカメラに向かって笑いかけている写真。
頑張ろう。
写真をそっとしまって、やる気を入れ直す。
いつか、またキミに会えるように···
街のモニターでもいい、テレビでもいい、新聞だっていい。
キミに伝えたいんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。