第23話

蒼真の気持ちに揺れる

8,241

2022/06/05 09:00

丸山梨花

何かあったらすぐ報告！
って、約束したのに〜

森川海

ご、ごめん……
色々一気にありすぎて

 ───夏休み初日。

今日は丸山家に遊びに来ている。

夏だってことを忘れそうなくらい冷房の効いた部屋で、対面する梨花の怖い顔。

丸山梨花

知らない間に、
とんでもない三角関係拗らせてるし

森川海

三角関係……というか、
まぁ、確かにそうなんだけど

丸山大輔

いや〜でも、いいね！
青春だなぁ〜！

丸山梨花

……なんでお兄ちゃんが
私の部屋にいるわけ！？

丸山大輔

そりゃ〜、夏休みだし？
梨花との時間は一分一秒も
無駄にできないだろ？

丸山梨花

もはや発想がキモイ……

梨花の隣でニコニコ嬉しそうに梨花を見つめる梨花のお兄ちゃんは、どこまでも梨花を溺愛している。

……イケメンなのに、極度のシスコン。
梨花のお兄ちゃんに片想いしてる子がもしいたら、難易度5つ星だろうな。

丸山大輔

でも、なるほどね〜
だから最近の柊佑、
ちょっとイライラしてんのか〜

森川海

……イライラ？

丸山大輔

んー、なんか苛立っててさ〜
おまけにまた女遊び始めて。
だけど、女の子たちといても
ずっと心ここに在らずって感じ

丸山梨花

それ、お兄ちゃんのウザさに
嫌気がさしてイラついてる可能性は？

丸山大輔

……ま、まさか。
俺たち親友だもん

 笑顔のまま多少の焦りを滲ませた梨花のお兄ちゃんがおかしくて、思わず笑ってしまった。

丸山梨花

ま、とにかく……！
こうなってしまったからには、
ちゃんと自分の気持ち整理して、
誠意を持って行動しないとね！

森川海

……うん、
誠実でありたい

オオカミ先輩と違って、原くんなら私だけを見てくれる。

オオカミ先輩と違って、どんな時だって優しくて、頼りになって、一緒にいて楽しい。

きっと私が泣くようなことは一切しないし、私が笑っていられるように努力してくれる。

……原くんを選んだら幸せになれる。
そう、分かってるのに。

───心の奥底に、オオカミ先輩を信じたい気持ちを捨てきれない私がいる。

＊＊＊

───帰宅後の森川家。

森川家パパ

そうだ、海

お父さんが海外出張から戻って、数日。
夕飯を食べ終え、リビングを出ようとする私を、お父さんが引き止めた。

森川海

なぁに？

森川家パパ

今度の土曜は
夕方から予定を空けておいてくれ

森川海

土曜日？
何かあるの？

森川家パパ

出張から戻ったら内海さんちで、
食事会をしようって話になっていたんだ

森川海

……しょ、食事会！？

森川家パパ

海が長いことお世話になったことだし、
内海さんの奥さんや息子さんにも
お礼も兼ねてご挨拶に伺いたいんだ

突然の知らせに驚きを隠せない。
原くんに告白されたばかりの今、オオカミ先輩に会うのは個人的にとても気まずい。

とはいえ、"今は先輩に会いたくない理由がある"なんて、お父さんに言えるはずもなく……

森川海

分かった。
土曜日の夕方は空けておくね

森川家パパ

あぁ、頼む

お父さんに小さく微笑めば、安心したような笑顔が返ってくる。

……土曜日まであと3日。
あぁ、どうしよう！！

今から緊張で胃が痛いです……。

いいねして作者を応援しましょう！

141

2,661

第24話久しぶりの内海家

∞yumi＊

コンテスト受賞作品

グランプリ

好きになるのはキミ限定【完結】

なぁな

編集部コメント

主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした！<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。