目の前には、やや威嚇気味の内海先輩。
やっぱり、言葉の通じるオオカミさんにも、歓迎はされないのね……と、内心やや落ち込む。
その瞳を真っ直ぐ見つめ返している今、少しでも怯めば負けてしまいそうで、私はグッと拳に力を入れた。
冷ややかな目で私を見つめるオオカミ先輩に、なんて説明したら伝わるんだろうかと頭を悩ませれば、
そんな私に、オオカミ先輩が一言。
貼り付けたような偽物の笑顔で、サラりと嫌味な一言を繰り出すオオカミ先輩に私は目をぱちくりさせる。
……オオカミ先輩の言葉の意味を辿って、理解したとき、やっと否定の念が湧いてきた。
た、確かに……その部分だけ強調されると否めないところがあるような。
……って、
……行ってしまわれた。
***
手懐けるためには、とにかく触れ合うことが大事!そうと決まれば先輩と会話しまくってコミュニケーションを……!
なんて、意気込んでみたものの。
***
───昼休み
全く相手にされないどころか、また逃げられてしまった。
オオカミ先輩は、いつも逃げ足が速くていらっしゃる。
……それに、どうしてだろう?
確かに言葉は通じているはずなのに、全くと言っていいほどキャッチボールが成立していない気がする。何を投げかけてもさらっと交わされてしまうし。
これじゃあ手懐けるなんて前途多難なのでは……!?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。