第2話

まずはコミュニケーションから
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2022/01/09 09:00
目の前には、やや威嚇気味の内海オオカミ先輩。

やっぱり、言葉の通じるオオカミさんにも、歓迎はされないのね……と、内心やや落ち込む。

その瞳を真っ直ぐ見つめ返している今、少しでも怯めば負けてしまいそうで、私はグッと拳に力を入れた。
森川 海
森川 海
あの、私……!
1年の、森川 海って言います!
内海 柊佑
内海 柊佑
……森、川、海って
すげぇ単純な名前だな
森川 海
森川 海
え?た、確かに全部、
小学校1年生で習いました。
……って!そんなことより、
森川 海
森川 海
私に、オオカミ先輩を
手懐けさせてください!
内海 柊佑
内海 柊佑
は?
森川 海
森川 海
……あ!もちろん、
これは変な意味じゃなくですね!
内海 柊佑
内海 柊佑
突然現れて、
なにおかしなこと言ってんの?
森川 海
森川 海
えっと、だからその、
冷ややかな目で私を見つめるオオカミ先輩に、なんて説明したら伝わるんだろうかと頭を悩ませれば、

そんな私に、オオカミ先輩が一言。
内海 柊佑
内海 柊佑
生憎、女には困ってない
森川 海
森川 海
え……?
貼り付けたような偽物の笑顔で、サラりと嫌味な一言を繰り出すオオカミ先輩に私は目をぱちくりさせる。

……オオカミ先輩の言葉の意味を辿って、理解したとき、やっと否定の念が湧いてきた。
森川 海
森川 海
ちがいます!!
森川 海
森川 海
私、別にオオカミ先輩が好きとか
そういうんじゃなくて!
内海 柊佑
内海 柊佑
へぇ〜
好きでもない男を手懐けたいって、
とんだ変態だな
森川 海
森川 海
……っ!
た、確かに……その部分だけ強調されると否めないところがあるような。

……って、
森川 海
森川 海
ちょっと!先輩!?
……行ってしまわれた。
***

手懐けるためには、とにかく触れ合うことが大事!そうと決まれば先輩と会話しまくってコミュニケーションを……!

なんて、意気込んでみたものの。
森川 海
森川 海
せーんぱい!
おはようございます!
内海 柊佑
内海 柊佑
なんで?
森川 海
森川 海
なんで……って、挨拶ですよ!
あ・い・さ・つ!
内海 柊佑
内海 柊佑
じゃ、授業始まるから
森川 海
森川 海
え!?もうそんな時間……!
***

───昼休み
森川 海
森川 海
あ!先輩、
メロンパンがお好きなんですね
内海 柊佑
内海 柊佑
別に
森川 海
森川 海
え?好きだから食べてるんですよね
内海 柊佑
内海 柊佑
あー、くそねみぃ
森川 海
森川 海
あの!手懐けるための第1歩は、
好きなものを知ることだと思うんです!
先輩の好きな食べ物って、なんです?
内海 柊佑
内海 柊佑
……大輔、テキトーに答えといて
森川 海
森川 海
え?
丸山 大輔
丸山 大輔
あー!梨花のお友達の海ちゃん!
梨花の友達は俺の友達だからね♪
丸山 大輔
丸山 大輔
ちなみに、俺が好きなのはね〜
森川 海
森川 海
えっ、いや……あのっ、
あ!!先輩……!
全く相手にされないどころか、また逃げられてしまった。

オオカミ先輩は、いつも逃げ足が速くていらっしゃる。

……それに、どうしてだろう?
確かに言葉は通じているはずなのに、全くと言っていいほどキャッチボールが成立していない気がする。何を投げかけてもさらっと交わされてしまうし。

これじゃあ手懐けるなんて前途多難なのでは……!?

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