時の流れは早く、ついに今日はクディッチスリザリン戦当日だ
ウッドはそう言って「負けたら承知しないぞ」とでも言うように全員を睨みつけた
俺はグッと背伸びをして、フレッドとジョージの後ろに着く
明らかにめちゃくちゃ緊張しているポッターの背中を叩き、俺は会場を出た
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ピーッ!!
ホイッスルがなり、クアッフルが上へ投げられる
それを素早く飛んでキャッチし、ゴールを目指して箒を飛ばす
そんな解説を耳にすると、突然スリザリンチームに前方を囲まれる
俺は急降下してスリザリンを避け、もう一度急上昇をしてもう1人のチェイサーにクアッフルを投げる
ふう、これで一仕事終えた……
1ポイント目は俺がスリザリンの囮になって、ゴール際にいるチェイサーがゴール。ウッドが考えた作戦だ
後は適当に()クアッフル追いかけてゴールすればいいってウッドも言ってた
ゴール前でクアッフルを待ちながら、俺はポッターを探して見つめる
魔法でもなんかかけられてるみたいに、箒が暴走してるように見える
……もしかして、「例のあの人」…?
咄嗟にポッターに近づくと、やはり箒に魔法がかけられているようだった
俺がポッターを見てたのに気付いたのか、ポッターは俺に助けを求めた
「例のあの人」の仕業なのかもしれない
だけど、俺にはポッターを見て見ぬふりをするなんて出来なかった
俺はハーマイオニーの元まで箒を走らせる
ロンが双眼鏡で何かを見つけたらしい、ハーマイオニーがどこかに走っていく
こんなことが知られたら、父上は何と言うだろう?
……俺は、何がしたいんだ?
ぼーっとしていると、フレッドの声が聞こえた
急いで前を向くと、ブラッジャーが俺の頭スレスレで飛んできていた
今はそんなこと考えている余裕は無い。クディッチの最中なのだ
俺はアンジェリーナからクアッフルをパスしてもらい、全速力で箒を飛ばしてそのままゴールに投げつけた
その時、教師たちの方でザワザワとした声が上がった
見ると、スネイプの近くで炎が燃え上がっていた
咄嗟にポッターを見ると、急降下をしてそのまま四つん這いになって着地をしていた
そう叫ぶポッターの右手には、金色に輝くスニッチがあった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!