Harry side
クィレルのターバンが落ちた。
悲鳴をあげそうになったが、声が出なかった
クィレルの頭にはもう一つの顔があった。恐ろしい顔が、僕を見つめていた
この恐ろしいものが、僕の両親を殺した人物__
裏切り者……?
僕の周りに、裏切り者が居るなんて信じられない…
状況が全く把握できていない中で、クィレルが僕に向かって全速力で走り出していた
触れられる_そう思った瞬間。
な、何が起きた……?
閉じていた目を開くと、大きな朱雀が宙を舞っていた
クィレルを見ると、肩から血を流して座り込んでいる
スザクがやったんだと、何となく分かった気がした
スザクの真っ赤な羽がキラキラと飛び回り、そのあとに僕の手に羽を触れてきた
スザクと目が合う
触って、 そう言っているように見えた
僕はふらつくクィレルの顔を
手で覆いかぶせた
大きな雄叫びとも言える叫び声をあげ、クィレルの顔が溶けていく
もう一度両手でクィレルの顔に触れた次の瞬間。
クィレルはまた叫び、灰のように消えていった
何とか倒したと思ったのも束の間、ヴォルデモートも魂のようなものが僕の体を通り過ぎる
薄れ行く意識の中、助けてくれたスザクと目が合った
輝く赤い羽根に翠色の瞳。
この眼、どこかで___
目が覚めると、そこにはダンブルドアがいた
そう聞くと、ダンブルドアは賢者の石の事や両親の事、ハーマイオニー達の無事のことも教えてくれた
僕は丸三日も寝込んでいたらしい
とにかく、皆無事でよかった……
あのスザクは一体なんだったのだろう
どこかで、見たことがある気がする…
確かに、あの大きなスザクは僕を助けてくれた
でも、少し辛そうに見えたのは気のせいだろうか?
『他の誰か』……
ロンやハーマイオニーでは無いだろうし、シェーマスやフレッドとジョージだとは考えにくい。
何しろ、賢者の石のことは誰にも言っていないのだ
くそ、ダンブルドアは全部知っているくせに。
僕は一日中、スザクの正体を考えることとなった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。