~紗奈side~
私には今物凄く気になってる男がいる
その彼の名前は中島健人
イケメンだし、講義もよく被るからラッキーなんだよな
どうやらベタ惚れな彼女がいるらしいけど
てか、話し掛けても身体密着させても全然態度変えねえの
もうこうなったら奥の手使うしかねえよな
色使って落としてやる
この私に落ちない男なんていねえんだから
今私たちがいるのは大学の敷地内の図書館
健人くんは本を物色しながら棚の前を歩いていた
てか、私がずっと後つけてたんだけどな笑
それも把握済み
しかも今の時間帯ここ使う生徒はあまり居ないからタイミングもバッチリ
とか考えてたらまた歩き出してしまった健人くん
ぁ、いいこと考えた
転けるフリをして倒れ込めば正面から受け止めてくれた
ふふ、作戦通り
そしてそのまま胸を押し付けながらしがみつくフリをして…
胸を押し付けたまま顔だけ上にあげる
至近距離にある健人くんの顔
ここで目をじっと見詰めれば男は大体口付けてくる
はずなのに何故か全然顔を寄せて来ねえ
やば…至近距離で見詰めてたら逆にこっちがドキドキしてきやがった
顔が熱い…
バレてる…
畜生…なんで落ちねえんだよ、この男
最後にそれだけ言い捨て私は図書館から出た
健人くんには何を言っても、何をしても無駄なようだ
やっぱ潰すしかねえな、月島あなた
健人くんの宝物…壊してやるよ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!