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第5話

大貴の想い
243
2019/04/06 17:28
あなた

あ、涼介!お待たせ!

涼介
涼介
あなた、おはよー
あなた

あれ、大貴は?

涼介
涼介
なんか珍しく先行ったって
あなた

えぇ、あの大貴が?!

涼介
涼介
そーなんだよー
あなた

日直ないんじゃない?

涼介
涼介
あ、そか

いつもは3人で待ち合わせして登校しているのに、今日は涼介と2人っきりだ。
たわいない話をしていると、あっという間に学校。
あなた

大貴来てるね



私は、大貴の靴箱を開ける。

涼介
涼介
ほんとだ。
あー心配して損したーー
あなた

心配してたんだ笑

涼介
涼介
なにさー
あなた

可愛いとこあんじゃんって。

涼介
涼介
は、笑
あなた

ほら、行くよー

涼介
涼介
っ、う、うん…



✎︎____________











涼介
涼介
大貴!
大貴
大貴
あ、ごめんごめん、おはよー

教室につくと、すぐさま涼介は大貴の元へ。
涼介
涼介
なんで来ないんだよー
大貴
大貴
ごめんって笑
あなた

…………

大貴
大貴
あなた?


大貴、何か抱えてる。




私は大貴の腕を引っ張り、人気のない所へと移動する。
大貴
大貴
ちょ、あなた、
涼介
涼介
あなた…………?
大貴
大貴
どこ連れていく気?
あなた

黙ってついてきて!

大貴
大貴
………




やっと見つけた人気のない所。



ここは立ち入り禁止になっている階段の踊り場で、使われていない椅子とか机とかが散乱している。



私たちは、その空いているスペースに座り込んだ。


ここならきっと、誰も来ないし、誰の目にも止まらない(というか見えない)。
大貴
大貴
あなた…どしたの?
あなた

それを聞きたいのはこっちだよ

大貴
大貴
え?
あなた

涼介の対応になんか…困ってた

大貴
大貴
………
あなた

大貴が辛いなら、私も辛いよ
大貴が話したくないなら聞かない

あなた

けど…辛いことは、誰かと分け合った方が軽くなるから。

大貴
大貴
あなた……
あなた

だからさ、半分こしよ

大貴
大貴
………
あなた

ね?



大切な幼なじみだから、大切にしたい。


辛い時は、そばにいてあげたい。

大貴
大貴
あなた……


不意に名前を呼ばれて視線を合わせると、
大貴に優しく包み込まれる。


優しい体温、安心する背中。

直ぐに大貴だと分かった。


あなた

…、大貴?

大貴
大貴
少しだけ…このまま



耳元に響いてくる大貴の声。
触れ合う体。
誰もいない、2人っきりの空間。
何もかもに、ドキドキしてしまう。



そんな私を見据えたのか、大貴が抱きしめる腕を強くした。




やっと解かれたと思うと、今度はおでこ同士がくっつく。


否が応でも視線が絡み合うし、大貴の長い睫毛、くりっとした瞳、柔らかそうな頬が近すぎて硬直する。


優しく頬に手を添えられる。


自分の体温が一気に上がった。

目がとろんと蕩ける。


全てを、大貴に預けたかった。

だから、拒まなかった、何も。



















大貴の優しい唇が、私の火照った唇に重なった。

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