いつもは3人で待ち合わせして登校しているのに、今日は涼介と2人っきりだ。
たわいない話をしていると、あっという間に学校。
私は、大貴の靴箱を開ける。
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教室につくと、すぐさま涼介は大貴の元へ。
大貴、何か抱えてる。
私は大貴の腕を引っ張り、人気のない所へと移動する。
やっと見つけた人気のない所。
ここは立ち入り禁止になっている階段の踊り場で、使われていない椅子とか机とかが散乱している。
私たちは、その空いているスペースに座り込んだ。
ここならきっと、誰も来ないし、誰の目にも止まらない(というか見えない)。
大切な幼なじみだから、大切にしたい。
辛い時は、そばにいてあげたい。
不意に名前を呼ばれて視線を合わせると、
大貴に優しく包み込まれる。
優しい体温、安心する背中。
直ぐに大貴だと分かった。
耳元に響いてくる大貴の声。
触れ合う体。
誰もいない、2人っきりの空間。
何もかもに、ドキドキしてしまう。
そんな私を見据えたのか、大貴が抱きしめる腕を強くした。
やっと解かれたと思うと、今度はおでこ同士がくっつく。
否が応でも視線が絡み合うし、大貴の長い睫毛、くりっとした瞳、柔らかそうな頬が近すぎて硬直する。
優しく頬に手を添えられる。
自分の体温が一気に上がった。
目がとろんと蕩ける。
全てを、大貴に預けたかった。
だから、拒まなかった、何も。
大貴の優しい唇が、私の火照った唇に重なった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!